2008年09月09日
EQ10およびフォノイコライザーについての考察2
各社対応イコライザー補正回路とトーンコントロールの必要性
またまた昔の話ですが、私がレコードを聴き始めた頃は、イコライザー補正回路の必要はなかったのです。手持ちのレコードは、当時すべてRIAAに決められており、古いモノラルレコードにおいてもそうでした。もちろんすべて日本盤でした。しかし、グレイレコードのオフィスで、TD124のレストアを始めてから、海外のレコードを聞くようになり、こうした回路無しには、ヒアリングテストさえおぼつかなくなったのです。イコライザー補正回路のみならず、時にはトーンコントロール、ランブルフィルター等、総動員しなければ、スピーカーからまともな音を聞く事さえ難しいのです。RIAAでさえ各社少しずつ特性が異なっていたり、中にはジャケットにRIAAと明記されているにも関わらず、実際は自社独自のイコライザーカーブであったりするのです。
この現象は特にヨーロッパのレコードに顕著であり、独自のイコライザーカーブを用いても、年代により少しずつ異なるという事もしばしばあります。RIAAカーブしか持たないプリアンプでも、トーンコントロールを使用すれば、ある程度補正は可能なのですが、かなりの労力を要しますし、完全に近いカーブを得るのはまず不可能ではと思います。
やはり数種のイコライザー補正ポジションを持ち、トーンコントロールで補正するというのが理にかなった方法であると考えられます。またこのトーンコントロールというのがくせ者で、入力信号側で働くものと、スピーカーに対して働くという二種類のものがあり、各社専用イコライザーカーブのあった当時のものは、どちらかというと入力信号側で働くタイプでありますが、それ以後のRIAAにイコライザーが統一されたものでは、スピーカー側に働くタイプが多いようです。イコライザー補正の働きをグラフィックイコライザーで補う事も可能なのですが、結果的にはあまり良いとはいえません。それはグラフィックイコライザー自体の特性として、原則ラインレベルで動作するものが大半であり、スピーカー側に対しては周波数帯域コントロールが行えますが、それは入力信号側で行われるイコライジングとは異なるからです。
このような諸事情を吟味すれば、本来あるべきフォノイコライザーアンプというものの姿が、除々に明らかになってきます。それは複数のターンオーバー回路を持ち、効果的なトーンコントロールと場合によっては各種のフィルター回路を有するという事が、レコード再生においては、理想の形であるというものです。それにより、リスナーはレコード自体の持つ本来の力を自在に引き出す事が可能となる訳ですが、回路的に見れば、その姿は、イコライザー本来の姿に戻ったに過ぎず、現代のイコライザーアンプとしては物足りないと思われます。比較対照的に見れば、昔の回路と何ら変化がない訳であり、製品としての力が今一歩であるのは否めません。今日のイコライザーアンプとしての独自性を持つ為には、さらにイコライザー回路というものの原点に立ち返り、イコライザーカーブの持つ本来の働きを現代の視点から見直す必要が生じます。当時のイコライジングの研究、調査が求められるのです。同時にトーンコントロール及び、各種フィルター類の持つ働きにも、別の角度から見直されるべきであります。 つづく
以上T氏
またまた昔の話ですが、私がレコードを聴き始めた頃は、イコライザー補正回路の必要はなかったのです。手持ちのレコードは、当時すべてRIAAに決められており、古いモノラルレコードにおいてもそうでした。もちろんすべて日本盤でした。しかし、グレイレコードのオフィスで、TD124のレストアを始めてから、海外のレコードを聞くようになり、こうした回路無しには、ヒアリングテストさえおぼつかなくなったのです。イコライザー補正回路のみならず、時にはトーンコントロール、ランブルフィルター等、総動員しなければ、スピーカーからまともな音を聞く事さえ難しいのです。RIAAでさえ各社少しずつ特性が異なっていたり、中にはジャケットにRIAAと明記されているにも関わらず、実際は自社独自のイコライザーカーブであったりするのです。
以上T氏