2008年09月11日
EQ10およびフォノイコライザーについての考察-3
現代のフォノイコライザーアンプの使用について
現在販売されているイコライザーアンプ等は大別すると、2種類に分類する事が出来ます。自己独立型と依存型で、前者はレコード再生専用のフォノイコライザープリアンプとして使用でき、後者はおおむねラインコントロールアンプに接続する事を前提として製造されたものです。
独立型はそのままパワーアンプに接続して動作させる事が出来ますが、依存型は信号の可変は、ラインコントロールで行わなければなりません。この差が形となって製品に現れてきます。依存型があまりスイッチ類を持たないブラックボックス的なパネルであるのに対し、独立型の方は盛りだくさんで、パネル面はかなり賑やかです。
独立型が豊富なスイッチ類と補正回路を持つのは、音楽信号の可変を自らが行っており、パワーアンプを直接駆動しなければならないという事情があるからなのです。同じ理由で依存型がそれらを持たないのは当然の事であるのです。機械的にはSN比、音の精度といった面からみれば、依存型の方が有利であるはずで、何ら調整部を持たない為、信号のロスや、ノイズからの影響が少なくなるからですが、問題点が無いわけではありません。イコライザー単体としてはいかに優秀でも、接続されるラインコントロールアンプの相性と、クオリティ等によるミスマッチングが生じるケースが懸念されます。
その他、音の鮮度等についても、フォノイコライザーがプリアンプの外に出る事に伴い問題が生じるとも考えられうるのですが、私が思うにはそれは技術力に尽きるといえましょう。フォノイコライザーが外にあろうと内にあろうと良いものは良いのであり、イコライザーが外付けというだけで、音の鮮度にはあまり関係しないと思います。もしイコライザーアンプが優秀なものであり、使用者が自ら確信すべき再生音が得られない場合は、まずフォノイコライザーとラインコントロールプリアンプとの相性を考えなければなりません。
たとえインピータンス、電圧等のマッチングが合っているだけではだめであり、キャラクターが合わなければ満足な音は得にくいのです。この現象が起きた場合、イコライザーアンプ、ラインプリアンプ、パワーアンプの整合を図らなければ音質の向上が得難くなるので、アンプ同士の差し替えを行わなければならなくなるのですが、この依存型フォノイコライザーを使用した場合、信号増幅機器は3台にあるため、いずれを生かすかによりユーザーは悩みが深いといえます。依存型がいわば信号電圧部2台と電力増幅分1台で構成され、対比は2対1となりますが、独立型ではフォノイコライザープリアンプとパワーアンプで1対1であるのでマッチングという点から見れば、苦労は少なくてすむ事になります。しかし独立型にも問題が無いわけではありません。多種の機能を内蔵する事により、ハムやSN比の点で、依存型に比べて設計・製造において困難が生じやすくなります。回路的に言って信号伝送回路が短縮される分、鮮度という点では有利なのですが、それもゲイン用のアンプ部の出来次第によると思います。このような事柄を考えてみると、これら2つのタイプのイコライザーアンプは、ユーザーにとってみればレコード再生をどのように行うかという事により、選択される事になると思われます。よりオーディオ的にレコード再生を行うなら依存型が満足を得、オーディオよりレコード重視の場合、独立型イコライザーアンプがベストであると考えられます。いずれにしてもどちらが上か下とかの問題ではなく方向性とユーザーの主旨により選ばれるべきでありましょう。 つづく
現在販売されているイコライザーアンプ等は大別すると、2種類に分類する事が出来ます。自己独立型と依存型で、前者はレコード再生専用のフォノイコライザープリアンプとして使用でき、後者はおおむねラインコントロールアンプに接続する事を前提として製造されたものです。