2009年02月16日
GARRARD301 集成・積層キャビネットにまつわる迷信 1
ガラード301用のキャビネットは、過去から現在に到るまで、さまざまな種類の物が市場に出回っています。 私なりに考える所を書いてみたいと思います。 301用キャビネットは、そのほとんどが積層型かあるいは堅木集成材を使用していて、積層型は振動を質量と重量によりダンプ吸収するタイプであり、堅木集成型は材質の堅さを利用してキャビネット自体を振動させないよう作られています。

301のレストアを通じて、振動の性向による音質の変化を考えてみると、こうしたキャビネットが適しているとは、とうてい思えないのです。 なぜなら301は固有の縦振動をキャビネットに流すことにより、その性能と音質が向上するプレイヤーだからです。 にもかかわらず積層型かあるいは堅木集成材キャビネットはその点で効果的に働いてはいません。 振動エネルギーの吸収という点から考えても、そのキャパシティの少なさが欠点となるのです。 301から発生するモーター振動ノイズエネルギーの大量供給に耐えられだけの、充分な受け入れ容量をこれらのキャビネットは持ち合わせていないのです。。 キャパシティが狭いために、ノイズ受け入れ許容量が限界に達すると、キャビネットは膨大な量のノイズ成分の固まりと化し、301はノイズの海の上に浮かぶ船のごとくブレ始めます。 こうなると、ノイズ成分は音の濁りとSN比の劣化となって現れ、中高域は伸びず、低域は固まって、聴覚的には甚だしい低域の不足となって再生されます。 キャビネットに低く唸りが生じ、モーターが動作している限り消える事はありません。
この低い唸り音は再生音に色彩感の乏しさをもたらします。 301は自らの振動エネルギーを外部に逃す事により、動作上の安定を確保するよう考案されていますが、音質的な面では振動エネルギーの一部をシャシーにフィードバックさせないと、より良い音質的な響きは得られないというディレンマがあります。 フィードバックされた振動エネルギーは、301自体から発生した時の周波数帯域と同じであってはならず、異なる周波数帯域に変調されていなければなりません。 これは経験から言うのですが、発動した基本周波数帯域よりやや高めの周波数帯域で返さないと、再生音におけるリズム感が欠落してしまうのです。 逆に基本周波数と同じか、低めの周波数で返した場合、ハウリング現象が起きます。 これは積層キャビネットに起きやすい現象です。 ハウリングは再生音全体に影響を及ぼし、301にあるワールドスタンダード的な明確で力強い音を、生気の乏しいものに劣化させます。 このハウリング現象はアームのトレース能力に影響を及ぼすことはありませんが、音楽的な表現力となると、見えない膜のように301の再生音を規制して、本来の伸び伸びとした301の音が得にくくなります。 堅木・銘木・集成くりぬきキャビネットは、見かけは豪華ですが、301の振動エネルギーを開放する点で無理があります。 キャビネット自体が振動しないため、振動エネルギーを開放できず、その結果301のシャシーに振動エネルギーが蓄積され、音域上に特有の癖が発生しやすくなります。 301のダンピングファクターは振動エネルギーに乗って一旦外部に導かれた後にフィードバックされて安定するのです。 この働きをこれらのキャビネットは阻害するため、301のダンピングファクターはいつまでたっても安定せず、音像は不揃いになり、周波数特性的にランダムになりやすくなります。 また振動エネルギーの蓄積が、ある一定の周波数帯域に集まりやすいため、音の表現や、弦楽器の飛び出し、木管部の出入りが不自然になります。 つづく
以上T氏

301のレストアを通じて、振動の性向による音質の変化を考えてみると、こうしたキャビネットが適しているとは、とうてい思えないのです。 なぜなら301は固有の縦振動をキャビネットに流すことにより、その性能と音質が向上するプレイヤーだからです。 にもかかわらず積層型かあるいは堅木集成材キャビネットはその点で効果的に働いてはいません。 振動エネルギーの吸収という点から考えても、そのキャパシティの少なさが欠点となるのです。 301から発生するモーター振動ノイズエネルギーの大量供給に耐えられだけの、充分な受け入れ容量をこれらのキャビネットは持ち合わせていないのです。。 キャパシティが狭いために、ノイズ受け入れ許容量が限界に達すると、キャビネットは膨大な量のノイズ成分の固まりと化し、301はノイズの海の上に浮かぶ船のごとくブレ始めます。 こうなると、ノイズ成分は音の濁りとSN比の劣化となって現れ、中高域は伸びず、低域は固まって、聴覚的には甚だしい低域の不足となって再生されます。 キャビネットに低く唸りが生じ、モーターが動作している限り消える事はありません。

以上T氏