2009年08月10日
TD124最初期プラスティック軸受けの現状と今後
最近TD124初期モデルを希望する人が増えている。
以下T氏
TD124初期モデル購入の手引き
軸受け部にプラスティック製ブッシュが嵌めこまれているTD124初期モデルは、TD124総生産台数10万台弱のうち14,000台ほどと思われますが、はたして現在、どのくらい存在しているのでしょうか。 グレイにレストア依頼で運び込まれてくるTD124 のなかには、初期型であるにもかかわらず、メタル軸受けが組み込まれたものも多く見られます。 これはプラスティックブッシュの変形により正常な回転が得られなくなってメタルブッシュに交換されたものか、または販売店が軸受け本体ごとメタル軸受けに交換してしまったものです。 交換用のメタルブッシュにしてもオリジナルならまだ良いのですが、後発品を取り付けられると、もう、お手上げです。
こうしてプラスティック軸受けを持つTD124はその数が減っていき、今後ますます入手困難になるはずです。
最近、このプラスティック軸受け部に何らかの手が加えられたモデルが、以前より多く目に付くようになりました。 軸受け部底部の劣悪なシリコン注入や、音質的にダイレクトなレスポンスをするようで、実はただキンキンとエコー成分を発生する砲金製カバー改造部品などでしたらもちろん修理可能ですが、中にはプラスティックブッシュそのものにてを入れた軸受け部もぼつぼつ出てきたので、これを機に、皆さんに注意を促そうと思ったのです。 その手の入れ方はTD124の構造や音質に配慮したものとはかけ離れており、ただ回転すればよし、程度の考えで修理されたもので、プラスティック軸受け本来の音質はまったく失われてしまったものばかりです。 きつくて回らないからと、ドリルなどで安易に削ると、一発でプラスティックブッシュは生命を失います。
プラスティック軸受けの回転特性は、始めは回りにくいが、回り始まるとスムーズな回転運動に入るというのが本来の動作状態であり、その吸着力は強く、引き抜くにはそれなりの力を要するものです。 内部の密閉度が高く、保たれた比較的高い空気圧により回転エネルギーが高く保全されて独特の滑らかな質の回転が得られるのです。
これを可能にするには、ただプラスティックブッシュの狂いを修正するのではなく、プラスティックブッシュの壁面に鏡面仕上げを施す事により空気圧を保つよう作業しなければなりません。 つまり、プラスティックブッシュをジャストサイズの真円に修正しながら壁面をピカピカに磨く作業は誰にでもできる事ではないということです。 プラスティックブッシュはプラスティックという一見メタルと比較してやわらかい素材であるため、機密性という点で劣るように思えますが、正確な作業・調整を施すとメタルよりも精度を上げることが可能です。
プラッターを装着しての空転テストにおいて一分以上回転することもあります。 しかし、レストアという見地からして、ただ長く空転するからと言って、その軸受け部が最良のものであるとは必ずしもいえません。 それはプラスティック軸受けが組み込まれたモデルがどの年代のどの時期に製造されたものであるかにより、ギャップの削りしろ、研磨度が違ってくるからです。 つまりモデル別にチューニングしなければなりません。 たとえば30秒から35秒空転するよく調整されたモデルは、その再生音は力強く、音の圧力と押しが抜群であり、一分間ほど回るモデルは低域、高域双方の端の音域の自然な伸びが得られます。 このようにプラスティック軸受けはレストアの仕方により微妙な音質調整まで可能になりますが、それは入念な作業により初めて実現可能になるのです。 つづく
以下T氏
TD124初期モデル購入の手引き
軸受け部にプラスティック製ブッシュが嵌めこまれているTD124初期モデルは、TD124総生産台数10万台弱のうち14,000台ほどと思われますが、はたして現在、どのくらい存在しているのでしょうか。 グレイにレストア依頼で運び込まれてくるTD124 のなかには、初期型であるにもかかわらず、メタル軸受けが組み込まれたものも多く見られます。 これはプラスティックブッシュの変形により正常な回転が得られなくなってメタルブッシュに交換されたものか、または販売店が軸受け本体ごとメタル軸受けに交換してしまったものです。 交換用のメタルブッシュにしてもオリジナルならまだ良いのですが、後発品を取り付けられると、もう、お手上げです。
こうしてプラスティック軸受けを持つTD124はその数が減っていき、今後ますます入手困難になるはずです。
プラスティック軸受けの回転特性は、始めは回りにくいが、回り始まるとスムーズな回転運動に入るというのが本来の動作状態であり、その吸着力は強く、引き抜くにはそれなりの力を要するものです。 内部の密閉度が高く、保たれた比較的高い空気圧により回転エネルギーが高く保全されて独特の滑らかな質の回転が得られるのです。
プラッターを装着しての空転テストにおいて一分以上回転することもあります。 しかし、レストアという見地からして、ただ長く空転するからと言って、その軸受け部が最良のものであるとは必ずしもいえません。 それはプラスティック軸受けが組み込まれたモデルがどの年代のどの時期に製造されたものであるかにより、ギャップの削りしろ、研磨度が違ってくるからです。 つまりモデル別にチューニングしなければなりません。 たとえば30秒から35秒空転するよく調整されたモデルは、その再生音は力強く、音の圧力と押しが抜群であり、一分間ほど回るモデルは低域、高域双方の端の音域の自然な伸びが得られます。 このようにプラスティック軸受けはレストアの仕方により微妙な音質調整まで可能になりますが、それは入念な作業により初めて実現可能になるのです。 つづく