2009年09月15日

レストア前のTD124の振動 現場からの報告

レストアを依頼されて運び込まれたTD124は、レストアを行う前に、動作テストと、モーターの振動のチェックを実施しています。 それらの状態は当然、良いものではありません。 特にモーターは製造後分解される事無く、40〜50年は経過しており、実働していてもその状態は知れたものです。 レストア以前の愛機がどのような状態であったかを知ることができるのは、レストアが完了したのち、自宅にセッティングして初めて確認できるのです。 そこで、レストアする前のTD124のモーターがどのような状態であるか、以下3種類に大別して書いてみたいと思います。
 
モーター部品 \貼優織ぅ廚箸任盡討咾泙靴腓Δ、動作しても異音は聞かれず、それなりのトルクが得られ、回転も中々安定しており、それなりの音は出るタイプです。 一見何ともないようですが、シャシーに耳をつけ、モーターノイズをチェックすると何か細かいノイズ成分が聴き取れます。 ここで聞くノイズ成分のタチの悪さが問題で、再生音に与える影響はすくなからず重大であり、再生音全体の歯切れの悪さ、濁りを発生させてしまうのです。 動作チェックのため、ベルトをはずし、モーター単体での電源off後の空転テストを行うと、その空転時間は5〜15秒しか空転しません。 いくら静粛でもモーター自体の能力がかなり落ちているのがわかります。

モーター本体◆ゞ転タイプと称すべき品で、空転テストを実施すると、レストアしていないにもかかわらず、20〜30秒ほどと比較的長時間空転しています。 しかし、レストア済のモーター(30〜45秒)と比べると回転の質そのものが異なります。 レストア済の場合、電源off後の空転動作は、回転エネルギーの減衰とオイルの抵抗値等により、ゆっくりと落ちていきますが、このタイプのモーターは回転自体にラがあり、スムーズに減衰していきません。 最初はかなりの勢いで空転しても、回転エネルギーの減衰値がある程度のレベルに達すると、急に回転落ちが発生します。 分解して調べてみると、ピーナツ部は正常ですが、底部スラストパッドのベアリング接地点、つまりローター回転軸固定ポイントのクボミが、正確に円を描いてはいますが、深さにムラがあるのです。 このれは、カートリッジがレコードの音溝をトレースするのに似て、ローターが上下に小刻みに動いている状態で空転していたのです。 これは、空転テストでは問題がないように見えますが、一旦ローターがトルクを得て回転を始めると、空転時の性格は一変し、かなりイージーで、ローターの上下ピッチの乱れにあり、再生音は味気のない力のない伸びのない音になります。 これをTD124本来の音と思っているユーザーが多いのには驚かされます。 

レストア 異音が発生しているのは、ピーナツ(ローター真鍮製軸受け)が垂直になっていない為に発生します。TD124のローター保持部の底部は、樹脂製スラストパッド保持金属カバーがあり、その内部には、ピーナツと星型バネとフエルトにより、アソビを伴って保持されています。 組み立てる際、このピーナツを保持する自在金具の動きをどの様にするかが重要なのです。 ともあれピーナツにアソビを持たせてある機構のため、ローターは自動的にセンターが決まるようになっていますが、この部分の取り付け方により、どれだけ長期にわたってローターがきっちりと回転出来るかが決定されるからです。 発売時には、正確にローターが中心点を維持していても、長い間に徐々に狂ってきます。 経年変化と言えばそれまでですが、一番の問題はピーナツを固定している星型バネの、ピーナツに対するテンションのかかり方なのです。 これは個体や製造年により、それぞれ異なり、テンションの戻り方も又異なるというやっかいなものです。 TD124は量産型のレコードプレイヤーであり、一台一台作り上げるというものではなく、モーターをラフに組み上げてしまえば、ローター軸受けの中心が自動的に決まる機構になっています。 TD124は約10年間でマーク気鉢狭腓錣擦董10万台近く生産されました。 一台一台慎重にテストを行って出荷していたとは思えません。 モーター自体は測定器でテストしたと思われますが、その後の安定動作という点では、やはり自動的に回転の芯が決まる機構を信頼していたと考えられます。 このピーナツ保持部が持つ自動調芯機能は、初期モデルでは、それなりの復元力を持ち、ショックを与えたり動作中にTD124を傾けたりしても、元に戻る力があります。 しかし長期間、数十年を過ぎると元に戻らなくなるのです。 原因のひとつはフェルトの硬化現象。 モーターオイルをトーレンス社の指定品ではなく、他の粗悪なオイルや、異質なオイル(例えばモリブデン)を注入した場合、内部の汚れと化学反応を起こして、ピーナツの金属あくや、それに結びついたほこり成分等が、フェルトに吸い込まれ、やがて硬化していくのです。 この現象が発生するとローター底部先端ベアリングが、スラストパッド表面に形成された凹みから外れてしまいます。 その結果、ピーナツ壁面と接触してノイズが発生するのです。 この時点でTD124に見切りをつけるか、モーターを本体交換するかの選択を迫られます。 ほとんどのユーザーは使用を断念する事となります。 こうしてTD124は長い眠りにつくことになります・・・・。 近年顕著な人気上昇のおかげで、多くの眠れるTD124は揺り起こされます。 何十年も眠っていたのを急に動かされる訳ですから、TD124にとってはかなり辛く、入手した次のオーナーはTD124がこの様な状態であるにも関わらず、使用することになるのです。 それはそれで仕方のない事でもあります。 なぜなら新しいオーナーは、新品の時のTD124の再生音を知ることがなく、聴いてみて「ああTD124はこんな音がするのか」、くらいにしか思わないからです。

以上がレストア前のTD124のモーターの現状ですが、ターンテープルの配電部や電源スイッチ部の接点不良が加わると、それぞれの病状に加えてまた別の不具合を発生し、TD124の再生音はまた本来の音から遠ざかってしまうのです。 以上T氏


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