2009年09月28日

TD124 配電板部及び電源スイッチ部の接点不良と電圧の関係−1

レストアで最も注意を払うのは、TD124の心臓部であるモーターで、それ以上に重要な関心を抱くのは、配電板部と電源スイッチ部です。 たとえモーターがレストアで最高の仕上がりを見せたとしても、肝心の電流がモーターに正常な形で届いていなければモーター自体正しく動作させる事が出来ないからです。 TD124は最初の販売より既に50年経っており電気系統の汚れはかなりのもので、これを何とかしなければ一見正常に動作しているように見えても、本来の物とはいえません。 この部分をまず正常にしなければ、100Vであろうと120Vであろうと、動作は不健全で100V~120V間の電圧値の差異など無きに等しいのです。 では実際当社にレストアを希望されるお客様のTD124の電源配電部がどの様な状態であり、どの様に調整を行うか書いてみる事にします。 まず配電部から、シャシーの裏側には長方形のベークライト板にそれぞれ所定の電圧値に区分された配線結合部があり、モーターに電流を送るポイントごとに分けられています。 もう一方はスイッチ側へ、もう片方は電源コード側に伸ばされています。 シャシー上面から見るとベークライト配電板にそれぞれ3つの電圧ポジションがあり、そこに真鍮製のねじをしめ込み、所定の電圧値をセレクトするようになっています。 このネジは、通常のネジ頭のものと、ネジの上にプログラムのつまみがついた2種類です。 レストア方法は、まず電圧セレクト用ネジを抜き取り、差し込み側をベンジンで入念にクリーニングします。 次にセレクト用のネジの下の部分、接点部分をクリーニングしたのちコンパウンドで研磨します。 このネジの接点部分はほとんど黒く汚れており、入念なクリーニングが必要です。 電源スイッチ部はTD124の場合2種類あり、初期、中期モデルまでは英国製の黒いプラスチック製のものが使われ、これは密閉されていてピン1本で分解することが出来ます。 もう1つはほとんどのTD124に使われている箱型で、上部にベークライト板やプラスチックカバー等が使われ、仕様的には開放型と言えるものです。 黒色のプラスチック製は密閉されている為あまり汚れる事は無いと皆様は思われるでしょうが、実際分解してみるとほとんど全体が錆びており、特に接点部分は真っ黒で状態としては開放型より酷いというのが現状です。 このスイッチは構造的にはリレータイプで、板バネを利用して上下に接点ポイントがあり、ON/OFFで片方にも接触して通電するようになっています。 この部分が問題で、このポイントの上下のギャップは紙一枚が入るくらいしかありません。 レストアはまず全体をベンジンで洗浄し、汚れを浮かしポイントギャップ間を布やすりで入念に磨きます。 そのあと動作状態を確認し、ベンジン洗浄、最後に布を差し込んでクリーニングします。 そしてカバーをはめ込みレストアは終了です。 以上T氏  つづく


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