2009年10月11日

ステッププーリーの鳴きについての考察-2

TD124のノイズ発生について
レストアを完了したのに、なぜまだノイズ(再生音には出ない機械動作音)が発生するのか?と、問い合わせがくることが稀にありますが、それはレストアされたTD124の性能が格段に上がっているからです。 静かだからこそノイズが耳につくのです。レストアしないTD124にも静かなものもありますが、それはノイズを発生させるだけの力がないことを示しています。 特にアイドラーノイズ、これはアイドラーの接触面がメインプラッターに当たる際発生する自動車の走行ノイズと同様の音等は、TD124自体静かでなければ現れない現象で、レストアされていないTD124はあらゆる回転系の内部の汚れや、金属垢、錆等が発生し、回転体の運動を損ねており回転系が自由に動作せず、そのためノイズ成分すら発生させ得ないのです。 これらすべてのノイズ成分が重なり合いどこの部分にその原因があるのか特定すらできないのです。 アイドラー等は一部凹みや、キズがあってもほとんど聞き取れず、レストア後に初めてその姿を現します。 コツンとかコツコツという音が特徴で研磨により多少良くなりますが、完全に取れるのは稀です。 レストア後、モータートルクの上昇に伴ってトルクがアイドラーに強力に伝えられると、アイドラー表面は一皮剥けた状態になりますが、時々アイドラー内部より経年変化による目視では不可能なキズ等が出てくることがあります。これらはノンレストアTD124では、まず現れない現象でかんぜんにトルクがアイドラーにかからなければ発生しない現象のひとつです。

ステップーリーの鳴きについて
皿型ステッププーリーだけ、なぜこのような現象が発生するのか。 それはまず、構造的なものに起因します。 皿型ステッププーリーは、その接合点が金属接点となっている為、シャシーより伸びた円柱シャフト上部のベアリングによりステッププーリー本体が乗っているかたちになっており、少しバランスを崩しやすいのです。 それを押さえるステッププーリー内部のシャフトとのギャップの値が長年の使用によりこの合金制の内部分がいくらか減ってきている場合、ギャップが広がってしまい上下ピッチを発生させます。 ノンレストアTD124この現象があまり起こらないのは、内部が汚れてダストがたまりダンプしているからで、言うまでもなく正常ではありません。 結果的にレストア後に発生し、これを解消するには長い時間がかかります。 ステッププーリーが落ち着くまでには、アイドラーやベルトとの統合的な力のかかり方がある程度均一になるまでで、期間は本体のTD124がどのように使用されてきたかによって決定されます。 TD124は動作していなかったモデルのほうがレストアしやすいと言っているのは、不当に扱われた結果悪い癖のついたものより、使われずに放置されたものの方が外観はともかく、内的な動作に支障をきたすことが少ないからです。 ステッププーリーの鳴きの原因はこれだけではなく、もっと複合的な要素のひとつとしてアイドラーのキックバック現象です。 アイドラーはTD124本体の置き場所やコンディション、使用状態等により様々に変化し、その回転が不連続性を持つ品は、ステッププーリーに対して揺さぶりをかけ、これにより上下にわらうこともあるのです。 さらにベルトの問題として、新しいベルトによりモーターとステッププーリー間で起こっているベルトのテンションがまだまだ高く伸縮性がそれほどないので、ステッププーリーの接触面が完全にフィットせず、ランダムになりやすいのです。 この場合アイドラー側からのキックバックと相まって、さらにステッププーリーの回転エネルギーは水平方向にならず、不必要なトルク成分となりエネルギーの方向性が上下ピッチの増大に向かってしまうのです。 以上T氏 つづく



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