2009年10月17日

TD124ステッププーリーの摩擦とキズ等について-2

摩耗については、ステッププーリー・スカート部はほとんど見られませんが、アイドラーの当たる上部段階回転数選択部に最近増えはじめ、常識的にはアイドラーゴムが当たるだけなので摩耗するはずがないわけですが、実際はかなり凸凹しています。この現象の発生原因はアイドラーの汚れが研磨材として働いた結果、変形を招いたと考えることができます。 このような事があるとステッププーリーは動作時に細かく不規則に振動し、それ以上の場合はキックバック現象として、ある時間的な同期でステッププーリーの回転が円運動からブレ始めます。 皿型ステッププーリーの場合はわらう現象が直ちに結びつきやすく、唐傘タイプの場合は、回転シャフトの長さがあるので直接的には現れにくいのです。再生音への影響は、音の微妙な揺れとなって聴こえ、あまり気持ちのよいものではありません。 ノンレストア品を使い続けた場合モーターの破損の危険性等のほかにステッププーリーの状態も悪化して行くことになり、特に古いモデルである皿型ステッププーリーを持つTD124は互換性があまり無いので使用者は充分考えなければなりません。 唐傘タイプの場合も、いくら交換部品があるとはいえ、それは分解されたTD124から取り出されたものであり、使用者が修理不能になるまで使い続ければ早急にパーツのストックは尽きてしまいます。 アイドラーはある程度、消耗部品的側面がありますが、ステッププーリーは今後1台に1個と考えるのが正解でしょう。 皆様にご理解いただきたいのは、異音の発生現象はあくまで完全フルレストアTD124がすべての回転系の動作が滞りなく動いている際に出現する問題であり、それはモーターのトルクが十分に本来あるべき姿に復元されたことによるのです。 経年変化によりトルクの落ちたモーターでは、TD124本来の歯車的動作を完全にかみ合わせるだけの力はなく、異音を発生させる力もないのです。ノンレストア品で割合ノイズの少ないモデルは、ノイズを発生させるだけの力が無いからで、TD124というプレイヤーはベルト型とアイドラー型の2つのタイプの駆動系をひとつのモデルに組み込んだ形式で、常識的に考えればノイズは2倍あると考えるのが当然です。 その割に静かであるのは巧妙な作りと加工精度の高さがものを言っているのです。 従って動作音的にいっけん何の問題も無いのに、再生音では全くつまらない生気のない音であるのは、いわば車のドライビングで200キロ出せる車を40キロで走行しているようなもので本来の力が発揮されず、さらに言えば長年使用されキズだらけのステッププーリーの動作に何ら問題を発生させることのできないモーター自体、本来のものではないはずです。今後、私が一番心配しているのは、ノンレストア品をレストアせずに使用し続けているユーザーが、現時点でステッププーリーがどのような状態であるかを知らないで使っているという事実です。 ステッププーリー上部の摩耗が修復不可能なレベルにまで進行してしまい、その結果レストア不可能となりかねない事を危惧しています。 
以上T氏 この項おわり



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