2009年11月05日

TD124の形式についての考察

私自身はTD124に関する文章を書く時は、一応形式的にはアイドラー型の範疇に入れています。 それはTD124の回転駆動系の最終段がアイドラーで形成されているからです。 TD124の正式名称はベルトアイドラー型という事になっていますが、私があまりこの言葉を使いたくないのは、ベルトとアイドラーの働きの対比率が、五分五分と理解されてしまうからです。 ゴムベルトは確かにTD124の回転系にとっては欠かせないものですが、役割としてはステッププーリーを動かす為の手段としての役目が大きく、その他の部分の働きのように幾つもの役割を担っておらず、モーターの動力を伝える役割がほとんどなのです。 このベルトを歯車的思想に基づいて考えれば、チェーンベルトに相当しますが、実際の動作は摩擦抵抗値がチェーンベルトの接合部の役目を果たしている事になります。 単にベルトアイドラー型と称されると、まるでベルトドライブと、アイドラードライブの折衷型と思われかねません。 私はTD124は、ベルトアイドラーギアドライブ型であると思っています。 この考えで行けばベルトはゴムで出来ていますが、ギアドライブ的思想から見ればチェーンとなり、歯車の一つとして働きを示しています。 ここからはアイドラー型で統一致します。 ではTD124以外のアイドラープレイヤーはどうなっているのか、まずガラード301はレストアの経験から推測すれば、ダイレクトギアドライブと呼んだ方が良いと考えています。 確かにガラード301は、機構部にアイドラーが組み込まれていますが、モータートルクはプラッターをそのまま回すだけのトルク力があるので、本当はモーターで直接プラッターを回したかったのではと思われ、それを行わなかったのは回転数の設定が難しくなるのと、モーター自体の振動がそうさせなかったのだと思います。 再生音も音の直進性の強さ等にどこかダイレクトドライブ的な物が感じられますし、ガラード401では、その英国調の響きを取り去って音自体はダイレクトドライブ型に大変近いのです。 国内のダイレクトドライブ全盛期に、ガラード401が現役でいられた理由の一つが、音の本質的な部分でダイレクトドライブ型に近似していた為、当時のユーザーにさほど違和感無く受け入れられたのだと思います。 EMTはどうかと言えば、歯車的な思想からは外れたものであると考えられます。 EMTはモーターの回転がすべてであり、他の部位は付属的な働きだけで、とにかく安定して回るモーターが主導権を持っています。  EMTは純粋なプロユースのレコードプレイヤーであり、使用上便利なのでこの様な方法をとったのだと思います。 アイドラードライブ型の中にも、ベルトドライブ的な発想で作られた製品も見られ、例えばスイス製のレンコ等は確かにアイドラーを使って、プラッターを動かしています。 プラッターの重量や慣性力を当てにしている所があり、アイドラー型の持つ歯車的思想から離れがちでその動作の仕方もベルトドライブ型に良く似たものです。 その他にピエール・クレマン/コニサー/レコカット等には、それぞれ独自の思考法により考案された機構と仕様があり、TD124やガラード301にあるような比較的強固な歯車的な思想ではなく、やや緩やかなものとなっています。 それはエディカレント機構を保有しない為、回転部自体が回転コントロールの役目の為に、ある程度バリアブルにしておかないと動作的に具合が悪くなるという事なのです。 以上T氏




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