2009年11月13日

TD124歯車的動作についての補足-2

TD124の歯車的な動作と言えば、センタースピンドルを除く各回転系部の歯車としての働きが大変曖昧で、あくまで歯車的な動作にとどまっていると考えるべきです。それは各回転系部、接合、接点部の働きがモーターから回転エネルギーの伝達面から見れば、ややロスの多い構造になっており、これらを歯車として認識するには少々無理が生じる事は否めないからです。 なぜTD124はこのような機械的な立場から不合理と思える構造をとったのか、それは回転トルクに対する独自の思想をトーレンス社のエンジニア達が持っていたからだと考えられます。 TD124が回転系の終段にアイドラーを持つベルトアイドラー型という独特の構造により、通常のアイドラー型のようなトルク型のレコードプレイヤーではなく、回転力に重きを置いたことに理由があります。 モータートルクで直接アイドラーを駆動するのではなく、ベルトとステッププーリーを介することによりモーターの回転トルクエネルギーのうち、回転力の伝達を重視したためであり、歯車的な動作を行うことになったと考えられます。 単純にモータートルクでプラッターを駆動するだけならこれほど複雑な回転系を持つ必要はないはずで、これらの回転系はまさしくトランスミッションであり、トルクを回転力に変換させるためにトランスの働きも兼ねていると思います。 では回転系部、特にアイドラーとステッププーリーは現実にトランスとしてどのように働いているか、それはプラッターの負荷抵抗による定回転動作のゆらぎに対してブレーキとして働いていると考えていただければ良いと思います。 いわば、クッションの役割をはたし、直接モーターに対する負荷をアイソレートしつつモーターが負荷から立ちあがるまでの時間を稼ぐのがアイドラーとステッププーリーの隠された役割のひとつで、これによりTD124は負荷変動が大変ゆるやかに推移し、再生音は良好なものとなり、このわずかな時間稼ぎがモーターを安定させ、次々にトルクを送り出すことができるのです。 そして送り出されたトルクはステッププーリーにより回転力に変換されアイドラーに伝えられます。 以上T氏 つづく




トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔