2010年05月23日
Thorens TD135 Mk.2 スーパー仕様 その2
キャビネット
本機自体に付属しているスイス製オリジナルキャビネットは、TD124オリジナルキャビネットを踏襲したシンプルなもので、最小に抑えられた形状も124同様に台形をしています。 表面は凹凸のある吹き付け塗装となっていて、その目的はキャビネット自体の共振をなるべく少なくするためと考えられますが、実際は良くありません。 素材は合板と単板の組み合わせでTD124オリジナル品と比べ、やや共振ポイントが高くこのまま使用すれば勢いのあるやや硬めの音になるのは必至で、レストア前のものであればそれで良いと思いますが、ご覧の通りチューンナップを施した本機の場合は、このままでは良い結果は望めません。 そこで、キャビネット自体を振動から浮かせることを試してみました。 まず以前あったゴム足を取り、代わりにアルミのL金具を作ってこれをキャビネットのコーナー内側に取り付けます。
このままではキャビネットの振動は変化しないので取り付用のビスのひとつにコイルバネを用いて少しキャビネットからL金具を浮かせ、 さらにここにプラスティックの足を付けるのです。 キャビネット本体にあたる所にクッション材を取り付けて振動を直接受けないようにしました。 これはカートリッヂのダンパーと同じ働きを狙ったものです。 これによりキャビネット自体の鳴きは著しく改善され、スーパー仕様のTD135を乗せても問題なく再生されました。
再生音
標準装備のSHURE社製M55カートリッヂを使って再生してみました。同じカートリッヂを用いた場合のTD124Mk.1の再生音とは全く違ったシャープで鮮鋭なすがすがしさを感じさせるもので、TD124のような音の深さとコクはありませんが、それが逆に直接的な表現力と切れ込みの良さを特長づけており、音の色彩感の多様さの表出が、小回りのきくスポーツカーのような爽快さで、押し出しより切れ味で勝負のパンチ力もTD124のようなヘビー級ではなくライト級ですが、充分に力のこもった音です。 先鋭さが時にはリニアティHi-Fi的な響きを聴かせますが、決して無機質な響きではなく音楽に対しての追従性に優れた特性を持っています。 TD124のような求心的な力をレコードから取り出すのではなく、あくまで追従しようとするのが本機の特長であり、すがすがしさがあります。 人間の温かさに無関心ではなく心情に対する共感性も持ち合わせた凛としたクリアな音が聴こえます。
予定調和的なTD124の30000番台モデルの本質を前衛化した再生が可能です。
TD135 Mk.2の市場動向
現在、市場ではTD135Mk.1がほとんどでTD135 Mk.2はあまりその姿を見る事はありません。 TD135 Mk.2はTD135Mk.1に比べて生産台数が少ないのとまだ実際に現役としてヨーロッパのユーザーが使用しているからだと思われます。 TD135Mk.1は1961年発売され、TD124Mk.2が1965年頃に発売され同時期にTD135 Mk.2が生産されたと仮定すれば、TD135Mk.1は4〜5年間市場にあったことになりますが、これに比べてTD124Mk.2が1960年代の2〜3年間しか売られていないことからTD135 Mk.2は2〜3年程TD135Mk.1に比べて生産年数が少ないことになります。 この時代オーディオは少々下火気味で、TD150ベルトドライブ型の開発などもあり、結果的に台数が制限されたと考えられます。 レストアで結果の是非がこれほど如実にでるレコードプレイヤーはそう多くはなく、名機と言っても良いと私自身は思っています。 しかし、今日、このモデルのように手を加えられていない状態で静かに保存されていたTD135 Mk.2の入手は難しいと言わざるを得ません。
以上T氏
本機自体に付属しているスイス製オリジナルキャビネットは、TD124オリジナルキャビネットを踏襲したシンプルなもので、最小に抑えられた形状も124同様に台形をしています。 表面は凹凸のある吹き付け塗装となっていて、その目的はキャビネット自体の共振をなるべく少なくするためと考えられますが、実際は良くありません。 素材は合板と単板の組み合わせでTD124オリジナル品と比べ、やや共振ポイントが高くこのまま使用すれば勢いのあるやや硬めの音になるのは必至で、レストア前のものであればそれで良いと思いますが、ご覧の通りチューンナップを施した本機の場合は、このままでは良い結果は望めません。 そこで、キャビネット自体を振動から浮かせることを試してみました。 まず以前あったゴム足を取り、代わりにアルミのL金具を作ってこれをキャビネットのコーナー内側に取り付けます。

再生音
標準装備のSHURE社製M55カートリッヂを使って再生してみました。同じカートリッヂを用いた場合のTD124Mk.1の再生音とは全く違ったシャープで鮮鋭なすがすがしさを感じさせるもので、TD124のような音の深さとコクはありませんが、それが逆に直接的な表現力と切れ込みの良さを特長づけており、音の色彩感の多様さの表出が、小回りのきくスポーツカーのような爽快さで、押し出しより切れ味で勝負のパンチ力もTD124のようなヘビー級ではなくライト級ですが、充分に力のこもった音です。 先鋭さが時にはリニアティHi-Fi的な響きを聴かせますが、決して無機質な響きではなく音楽に対しての追従性に優れた特性を持っています。 TD124のような求心的な力をレコードから取り出すのではなく、あくまで追従しようとするのが本機の特長であり、すがすがしさがあります。 人間の温かさに無関心ではなく心情に対する共感性も持ち合わせた凛としたクリアな音が聴こえます。

TD135 Mk.2の市場動向
現在、市場ではTD135Mk.1がほとんどでTD135 Mk.2はあまりその姿を見る事はありません。 TD135 Mk.2はTD135Mk.1に比べて生産台数が少ないのとまだ実際に現役としてヨーロッパのユーザーが使用しているからだと思われます。 TD135Mk.1は1961年発売され、TD124Mk.2が1965年頃に発売され同時期にTD135 Mk.2が生産されたと仮定すれば、TD135Mk.1は4〜5年間市場にあったことになりますが、これに比べてTD124Mk.2が1960年代の2〜3年間しか売られていないことからTD135 Mk.2は2〜3年程TD135Mk.1に比べて生産年数が少ないことになります。 この時代オーディオは少々下火気味で、TD150ベルトドライブ型の開発などもあり、結果的に台数が制限されたと考えられます。 レストアで結果の是非がこれほど如実にでるレコードプレイヤーはそう多くはなく、名機と言っても良いと私自身は思っています。 しかし、今日、このモデルのように手を加えられていない状態で静かに保存されていたTD135 Mk.2の入手は難しいと言わざるを得ません。
以上T氏