2011年01月07日

フォノイコライザーEQ11  1号機到着

待望のフォノイコライザーEQ11の1号機がスウェーデンから入荷した。
音を出して思いを新たにした。 これは使いものになると。
レコードを熟知している老エンジニアが、ひとりでこつこつ製作する作品だから、まずレコードに相応しい音質でないはずがない。 フォノイコライザーで一番大切なのは音質だと思う。 こればかりは永い間、レコードに熱中して聴きこんだ技術者でなければ、こういう音質に仕上げる事は無理だと思う。 
EQ6ポジションのどれもが、ちゃんとツボにはまって再生される。 僕は永い間初期盤のレコードを販売してきたが、この機器は、NAB/CCIR/RIAA/AES/COLとそれぞれのカーヴがパリッとして、聴いていて実に気持ちが良い。 このパリっとした再生音をプリアンプのトーンコントロールでピントを合わせるように調整すれば、再生音が音楽を生み出すようになる。 例えば英DECCA SXLシリーズの58年プレスをNABカーヴに合わせ、トーンコントロールを注意深く再生してやると、もう、ウンウンとうなずいてしまう。 英DECCAの初期SXL盤をNABで再生することを頭に置いて制作デザインされたフォノイコライザーがいままであっただろうか? これをプリアンプに繋いでトーンコントロールでピントを合わせれば、ほとんどのレコードは、録音スタッフが意図した再生音に近づけることができるはず。

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試聴に使用した機器はTD124にSME3009/SHURE M44/GOODSELL AMPLIFIER/GOODMANS AXIOM80 + 英DECCA laboratory enclousure で聴いたが、気持ちよくレコードの録音特性に反応して、ああこんな音で、こんなハーモニクスで音楽が奏でられたらたまらない、とあらためて実感している。 尚、このセットにはマッチド・ペアのミニチュア管が1組予備に付属しており、2段目の真空管を差し替えると出力が10db多く増幅されるように設計されているので、接続するアンプやスピーカーにより適合する出力が選択できるようになっている。

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次に試聴システムにはちょっと不似合いなレコード、ディスコフィルフランセ盤のモーツァルト ピアノ三重奏曲(DF82)をかけてみる。 案の定RIAAでは音が粒子となって好き勝手に飛び交うだけだが、COLカーヴにカツンとまわすと、たたずまいを正したボスコフスキー教授が現れて、ふくよかな音色を奏ではじめる。 香りゆかたかな音色、こういう風味のヴァイオリンの音を切磋琢磨して出している、クラウスもそれも合わせてタッチの陰影を踏んでいる。 同じレコードでこれだけ違う。 前回のEQ10同様、大人が制作したという感じが伝わってくる。

グレー・ハンマーライト塗装仕上げ、前面パネルには6ポジションのEQ切り替えノブと青のLEDパイロットランプだけ、背面のスナップスウィッチで電源オンオフをコントロールする仕掛け。 遊んでいる。 ずっと電源オンにしていてもよさそうな感じさえしている。 厳選した30年前の軍用真空管を差しているところからして、エンジニアは真空管にたよらない音作りをしている。 もちろん、マラードやフィリップスを差し替えればより高音質になるはずだが、必要十分を最優先に、耐久性を考慮してこれを選択していると思う。 このあたりがエンジニアの力量だ。 これについてはあとでT氏が言及すると思う。 市場に出回っているフォノイコライザーのほとんどは良い素材や優れた回路を採用していることが謳い文句だが、実際に精確な再生曲線を持ち聴感上も満足できるものがどれだけあっただろう。 また試聴せずに購入して、こんなはずでは、と自室で唖然とする方も多いと聞く。

入荷予定 3月~4月頃
予定価格 23万円前後(消費税込 送料別)
フロントパネルの色はシャンペンシルバーと黒
御予約の方に限り、色指定可能。
予約御希望の方は
greythorens@kind.ocn.ne.jp






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