2011年05月15日

こんなの作っちゃいました 参

OTLモノーラルプリメインアンプの為のスピーカーシステム
このスピーカーシステムを製作するに当たり、何かしらのコンセプトを掲げておく必要がありました。 むやみやたらユニットがあるから作る、と言うだけではろくなものはできません。 さらに完成したらばどなたかに買って頂くことになりますので、なおさらです。 そこでメインシステムではなくあくまでサブ用として気軽に聴くことが出来、なおかつ深みのある音を出すと言うことを目標としました。 理由は、我国は世界に類を見ないオーディオ大国で過去に製作されたものや現行品のスピーカーは山ほどありますし、ユーザーは既にメインシステムをお持ちのはずだからです。 それゆえ本格的な(スピーカーの正面で矜持を正して聴く)と言うことに疲れた人に使って頂けるようにと、思ったのです。 気軽に聴けると言っても、サウンド垂れ流しでは名器で鍛えられた耳には満足して頂けません。 音に深みを求めたのはそれゆえのことです。 さてまずスピーカーユニットの紹介から始めますが、写真の通り、マグネットは500円硬貨くらいの直径くらいしかなく、フレームもそれ程贅沢なものではありません。 私はこのタイプのユニットをペケペケユニットと呼んでいます。 しかしこのペケペケユニットは只者ではない、何しろOTL専用の400Ω高インピータンス仕様であるからです。P1011101P1011102
【注 PHILIPS AD3800BM(特に400ohm) は稀少】
裸で鳴らしても高エネルギーと音の切れがあり、とても500硬貨大マグネットからは想像もつかないくらいの音が出ます。 さらにこのユニットは、本来完全なHi-Fi専用と言うものではなく、ラジオとしての用途を考えて作られていたようで、ユニット自体のインピータンスは400Ωとなっており、これに対してアンプリファイアの出力は800Ωですので、いわば一本で使うのではなく複数使用することを意図していたようです。 読者の皆様は、ラジオ用のユニットであるなら、どーせ大した音は出ないだろうと思われるかもしれませんが、それはどっこい、フィリップス社のラジオと言うものを見たことが無いからです。 そこで参考までに現在我社にあるものをお目にかけたいと思いますが、サイズは幅67cm、高さ43cm,奥行27cmもある大きなもので、OTLアンプリファイア、スピーカーユニットはツィーター付きのものを複数組み込んであります。 レコードプレイヤーも接続して聴けますし、サブスピーカーも大きなものが用意されています。 その再生音はもはやラジオ的と言うより、完全にオーディオ的であり大変立派な音がします。 豪華でありますが落ち着いた仕上がりです。 
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さらにこの大型ラジオの音を聴いていると、私にはある思いが浮かび上がってきます。 それは1970年代からの我国のオーディオのいわゆる、システムコンポーネント方式(バラコン)とは、正反対の方向です。 つまり我国のオーディオは、いわば電蓄の各パートを分割して行ったのに対して、フィリップス社の大型ラジオは、それぞれ独立していたチューナーや、プリメインアンプ、スピーカーを一つのラジオと言う形の中に押し込めてしまったのです。 一つにまとまった電蓄を分割していけば、拡散して行くことになり、どうしても個別の機器はエネルギー的に弱くなり薄味になりがちです。 しかしあらかじめ個有の、それなりの性能と力を持ったオーディオ機器を一つの箱、ラジオというものに入れるとどうなるか、エネルギーの気縮が発生します。 何しろ配線が最短距離で進みますし、発熱もキャビネット内部に満遍なく行き渡り安定性の向上が得られるからです。 音の密度が上がり、音色にコクがでるわけです。 P1011107
フィリップス社製大型ラジオは、ラジオと言うより、立派なオーディオ製品であり、事実トーレンスやコニサーを接続してレコードをかけると、とてもラジオとは思えない音が出現します。 この様な製品に使われたスピーカーユニットが、悪かろうはずがなく、独立したスピーカーシステムにも充分耐えるものであると考え、エンクロージャーを作ることにしたのです。


External Speaker for PHILIPS OTL Radios (impedance 800 ohm)

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