2011年05月16日

こんなの作っちゃいました 肆

エンクローシャーの製作
使用するフィリップス社製ユニットは、インピータンスが400Ω仕様で、モノーラルOTLプリメインアンプ出力800Ωとはミスマッチングであり、直列接続にして800Ωに適応させます。 400オームを二個にしたら、ゆったりと鳴るから、とオランダ人がわざわざ貴重な400オームユニットを送ってくれたのです。 しかしダブルコーンフルレンジを二発重ねると、当然位相は乱れがちになり、結果的に音に濁りが生じることになりがちです。 そこで考えついたのが、縦に二つ重ね、小さなフロントロード形式にしてコントロールするキャビネットです。 P1010055
フロントロードは60度の角度で広がり、二つのユニットの中間に仕切りを設けることにしました。 又このホーン開口は、初めは60度ですが、フレアーは45度に設定し抵抗を少なくしています。 さらにユニット自体は20cm弱の大きさですが、開口は建て幅を狭め、実際のユニットの開口幅は17cmにしてあります。 ホーン自体の奥行きはバッフルまで13cm程です。 さてフロントバッフルにホーンを組み込むとなると、エンクローシャー本体をどの様にするかを考えなければなりません。 そこでオランダから送られてきた、フィリップス社製のエンクローシャー寸法図を開いてみた所、二発入りのものがみつかりました。 コーナー型のエンクローシャーですが、問題はかなり大型であることで、高さが800cm、幅も奥行きも同じ位あり、これではあまりに大きすぎ、とてもサブシステムと呼べるものではありません。 またGRF並の大きさに20cmフルレンジを入れるくらいなら、30cmユニットを入れた方がましであり、従ってこのデザインは採用できません。 フィリップス社の寸法図が使えないとなると、新しく考えなければなりません。 米国ゼンセン社のバス・ウルトラ・リフレックス型を参考にしたらどうでしょう。 このエンクローシャーの特長は、通常のバスレフ型より小型に出来ることですから。 もちろん欠点もあります。 吸音材を使わないと、ダクトから中高音が放出されてしまうことになる。 今回使用するペケペケスピーカーは、極力吸音材を使わない方が良いので何とかしなければなりません。 そこでワーフェーデールのブリッグス氏の、スピーカーフォンの中にある音響フィルターを付けることにしました。 これは丁度ユニットの真後ろに当たります。 又エンクローシャー内部には、定在波を防ぐため、15mmの三角材を取り付けてあります。 さらにバスレフ開口部にも一工夫を施しました。 P1010056
この開口全体はホーンとしての働きもあり、吸収材が無いと音響フィルターを付けたとしても中高域が漏れてきます。 それが音(再生音)に対して重要な問題となってくるのは、フロントバッフル側との位相ズレや、相互干渉による混乱が発生した場合のことで、ステレオ再生時に影響が出てくることでもあります。 そこでバスレフ・ダクト開口部をゼンセンのオリジナルの様に、開きっぱなしとはせず片側4分割とし音響抵抗をかけることにしました。 さらに本来ならこのダクトはホーン的な考えでは、側板に対しての接合部は45度になっていますが、直角としてホーン部からの音漏れをフロント側に向かないようにしています。 これによりこのダクトを通って来た音は、側板に一度当たって空中に拡散されることになる。 その効果をさらに高める為、ダクトの奥側リアバッフル側を、オリジナルの様に45度で切り落とさずそのまま伸ばしておき、さらにリアバッフル板との間に空席を設け、音の廻り込みに対して、小さな音のプールを作っておきました。 こうすることにより、バスレフポートからのリアバッフル側への音の廻り込みを複雑にすることが出来、リアバッフルに形成される側板を介してフロントバッフルの音のエネルギーのピークの山を出来るだけ抑えるようにしました。 P1010051
フロントバッフル、リアバッフルの音の回折による音のピークの山は、俗にレクタンギュラー型と言われるフリースタンディング仕様のエンクローシャーではしばしば発生し、プログラムソースにより、良きにつけ悪きにつけ、再生音に影響を及ぼしてしまうのです。 しかし、これはステレオ再生において問題となりますが、モノーラル再生の場合は異なる効果と意味を持つのです。 それはモノーラルという一個のスピーカーで再生を賄うことにより、上手く利用すれば残響音として空間に音を散りばめ、モノーラルでありながらステレオ効果のような再生音の拡がりを発揮させることが可能です。 英国製スピーカー等はむしろ積極的にこうした効果を取り入れています。 前述のアキシオム80入りデッカアーク型スピーカーにも、この様な思想が見てとれますが、これはスピーカーユニット側から廻り込んだ音を、上手に空間に放出することにより、主音(スピーカー正面)からの音とは、別のエンクローシャー自体の鳴りと、廻り込んだ音を空間に転位させていると考えられるのです。 つまり主音とそれに属する転位音の良きブレンドです。 このブレンド加減がうまくいくと、スピーカーはその姿を消すことが出来るのです。 これを私は勝手にカメレオン効果と思っています。 主音と属音転位音による目くらましで、主音が属音と一体となり、どちらが主で、従であるか、リスナーが認識不能になってしまうことにより起こるのです。 こうした現象を発生させるのは中々容易なことではありません。 よくよく考えて見れば、世に名器と称されるスピーカーとは、この様な現象の発生率が高いものを指していると言えなくもないのです。 これは読者の皆様に是非理解して頂きたいのですが、米国製のオーディオシステムで見ると、クラシック再生に限って言えば、まず発生することはありません。 その理由はアメリカの音とは、権利を意味しており常に自らの音を主張するからです。 再生において音が権利を主張していては、スピーカー自体、カメレオン効果で消失するということはあり得ないことだからです。  つづく 
以上T氏



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