2011年05月22日

こんなの作っちゃいました 捌

デッカ・アーク型エンクロージャをモデファイする
前回書いたとおり、30cmフルレンジ用エンクロージャの失敗と音響迷路型の分止まりの悪さなどに懲りて、もっと簡単な構造で効果的な箱が作れないかと思案した結果、以前作ったアキシオム80入りアーク型をモデファイしてはどうかと思い、作ったのがこのエンクロージャです。 しかしアーク型をそのまま小型化したからと言って上手くいくはずがありません。 それにアーク型はバックロードホーン型ではなく、もっと違う構造にする必要があります。 そこでワーフェデイル社のブリッグス氏の本に記載されているロック・ッド型エンクロージャと同じく内部に音響用スリット板を設け、低部(低板)に10cm口径のポートとこれに可動式のふたを作って、バスレスボートの径を可変することにしました。 さらにフロントロードも追加しました。 このフロントロードは奥行きが10cm程のもので、フレアーを持たず、60度角度で切りっぱなしです。 これは30cmエンクロージャが45度のフレアー部により、あまりに空間の拡散力が大きくなり、PA的な鳴り方になってしまった反省によります。 しかしユニットの開口をどの様にするかにより音質は変化してしまうので、どの寸法とすべきかテストしなければなりません。 そこでタタキ台として三つのホーンを作り、どれが一番効果的であるか試してみることにしました。 写真を見て頂ければわかりますが、まず一つ目は30cmフルレンジ型と同じく開口面と同じく四角にしたもので、ただしホーンの角度は62度になっています。 二つ目は二発目と同じく縦方向のみ縮めたもので、上下は開口より1cm程広げてあります。 PC141072三つ目のものは本機に組み込んだユニット口径に対して1cm程均等にカットしたもので、これが一番自然な音がしました。 これら三台を平面バッフルに取り付けテストしてみました。PC141076











PHILIPS社製AD3800AMスピーカー・エンクロージャ構造と仕様・再生音
エンクロージャの構造は準モノコック構造で作られています。 準と書いたのは、リアバッフルのみ角材を使っているからです。 その他すべて接合面は角材を使わず、小さく切った木材を使用。 従って板の鳴きは全て分割振動で、角材による音の方向性やピークはありません。 P10101079mmのシナ合板でギターを模した構造になり、内部は三角形にカットした15mmの音響用の共振コントロール材により、エンクロージャ内部の定在波の発生を防いでいます。 これにより音の抜けと鮮やかさが増し、ピーク音の発生もありません。 デッカ・アーク型と異なる所は、各接部フロントサイド側を板同志で接合している所ですが、これは一歩間違うと寄性共振を招きかねません。 このエンクロージャはフロントロードと音響スリット板により、振動が揃うと言うことが無い為起こりませんでした。 アーク型の場合はユニット取り付け面を斜めにして在りますが、本機の場合は平面のままであります。 アーク型をこのように面倒くさい構造にしたのは、正面で聴く場合は空間を広く使うためと後ろ向きに壁面に再生音を反射させて使用する場合はホーンとして働くことを目指したためと思われますが、このエンクロージャはショートホーンが付いているので同等の効果が得られるはずです。 P1010109さらにユニット取り付け面をアーク型同様に斜めにしてホーンを付けると言う手もあったのですが、それをしなかったのは、斜めにするとバッフル用の角材を使わねばならず、この構造では良い結果が得られないと考えたからです。 このキャビネットにフィリップス社の800Ωフルレンジを取り付けての試聴では、爽やかできめの細かい音が出ました。 たしかに音の荒さは大入力の時のみに発生します。 それはユニットの限界点を超えた時のみのことで通常レベルでは起こりません。 能率が高く、音の伸びが良いのでパワーをぶち込まなくても、迫力ある音が簡単に得られます。 さてこれは蘭フィリップス社製AD3800AM(OTL用800Ωダブルコーンフルレンジ)ユニットの為に作ったものですが、本当の狙いはもう一つあります。 それはフィリップスに限らず、これからは入って来るかもしれない英国の20〜25フルレンジスピーカーや、フランスのユニット、北欧のピアレス社のユニット等の、ヴィンテージスピーカーユニットに適合する、基準形を構築したいと日ごろから考えていたのです。 P1010106このエンクロージャこそ、それではないかと確信しました。 この形を基本として高さや、奥行き、幅を変更すれば大抵のヴィンテージユニットにマッチするはずです。 さらに内部の構造もバックロード型にすることだって可能ですし、フロントロードも間口も広がりも変えることが出来るのです。 ただし、これは一般的に標準ユニットとされるスピーカーにのみ適応されるものであり、より個性的、より趣味的要素の強いものは、それぞれの個性に即して、もっとつっこんで1台1台のユニットの微妙な違いを見極めて、それぞれの良さにぴたりと添うように1台1台入念に製作しなければなりません。  つづく
以上T氏
次回は英BARKER DUODE スピーカーユニット用エンクロージャについて予定していましたが、現在T氏は本業の大工仕事に忙しく、また後日。 お楽しみに。



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