2011年06月28日
デュオド物語
我国において、英国バーカー社製デュオド・スピーカーユニットの存在は全く知られておりません。 ヴィンテージ業者、関係者も又しかりです。 つまりデュオドについては何も知らないと言うのが本当の所であります。 事実、実体がわからぬ得体の知らないスピーカーユニットでありました。 
私達にとっても、しかしそれが何故現在ここにあるのか。 十年以上前になりますが、阿部氏が英国のレコード愛好家の間で時々、何か訳のわからぬ英国のスピーカーのことをいやに熱心に話し合っているのを小耳にはさんだことがある、その名前はデュオドというユニットだったというのです。 それを同じ英国人が結構な高値で売り解しているのです。 いかに落ちぶれたと言っても、英国人は英国人で何処ぞやの国のオーディオマニアの様に、本国でゴミ同然に扱われている業務用アンプやスピーカーを高値で買うなどということはまずありません。 そうであるならこれはかなり良いものではないか、と思い試しにひとつ購入したのだそうです。 映画用のモニタースピーカーのようにも見えますが、現物を見ると完全なホームユース用で、しかもアメリカ製スピーカーユニットを見なれた人から見れば、かなりヘンテコリンなユニットです。 まず目に付くのは深く絞り込まれたコーン紙の形状で、しかも一枚の紙か布で作られており、そこに特殊な樹脂みたいなものが塗られており、まるでプラスチックか写真のフィルムの様な手触りでかなり薄く出来ている。 製法としては型板にコーン紙用の紙か布を張り、プレスしたのち樹脂を塗って成型したのだと考えられます。 コーン紙のカーブ、ボイスコイルからエッヂに到るまでの曲線が、どうも我々が見慣れているスピーカーユニットの様に均一に広がっていくというものではなく、所々変化している様で一筋縄ではいきません。 エッヂは布に生ゴムを浸み込ませたような感じで、もう50年以上経っているのに未だ弾力を保っています。 だが問題はコーン紙の奥に取り付けられている、ラテックスを振動体とした高音再生部で、デュオドは一見、12インチのフルレンジに見えますが、実際は同軸型なのです。 ここの部分が謎で、デュオド社が協力関係にあったと言われる、スコットランド人H.F.ハートリーが米国で設立したハートレー社製のものと同じように、二重ボイスコイル構造で、高音域専用のボイスコイルに、ラテックス振動板を組み込んであるのか、又は低中音用コーン紙のボイスコイルに取り付けてあるのかは判明していません。 ただ文献によればハートレー社製ユニット(220MSG/207MSG)の二重ボイスコイルはA.C.バーカーによって発明された原理に基づいて製造された、とあります。
デュオドの不動品があれば分解して調べることも可能ですが。 又米ハートリー社の特許である、マグネチックサスペンション機構が、ここに使われているか等も現状では判断できません。 いずれにしろハートレーとデュオドは何らかの関係があったようです。 他に特長としては、コーン紙に接続されたりリード線が異様に細いということで、こんな極細のリード線は今まで見たことがありません。 この例を見てもデュオドと言うスピーカーユニットが、恐ろしくデリケートな品であることがわかります。
デュオド(DUODE)という名は、英物理学者A.C.バーカーが1938年に開発した"DUODE COIL"から由来しています。 これは2重同軸巻線がプラスティック・フィルムで絶縁されたコイルと説明されていますが、先ほども書いたとおり、それ以上のことは秘密に包まれたままです。
デュオド本体の物理特性については、1958年の英国Hi-Fi YEARBOOKに12Cと12B-Cの二種が記載されています。 定格は12C型はボイスコイル径1.5インチ、磁束密度17000カウス、総磁束190000マクスウェル、入力15ワット、B-C型は磁束密度14500カウス、総磁束130000マックスウェルとなっており、B-C型の磁力が落とされているのは、エンクロージャーの型式への対応であるか又は、ウェストレックス社製トーキーアンプ同様に、スタンダードとアドバンスというクラス分けの意味合いを持っているか等についても、憶測するしかないのです。 インピータンスに関しては12C、B-C型共に、15、8、5Ωの三種類あると記載されています。 つづく
以上T氏

私達にとっても、しかしそれが何故現在ここにあるのか。 十年以上前になりますが、阿部氏が英国のレコード愛好家の間で時々、何か訳のわからぬ英国のスピーカーのことをいやに熱心に話し合っているのを小耳にはさんだことがある、その名前はデュオドというユニットだったというのです。 それを同じ英国人が結構な高値で売り解しているのです。 いかに落ちぶれたと言っても、英国人は英国人で何処ぞやの国のオーディオマニアの様に、本国でゴミ同然に扱われている業務用アンプやスピーカーを高値で買うなどということはまずありません。 そうであるならこれはかなり良いものではないか、と思い試しにひとつ購入したのだそうです。 映画用のモニタースピーカーのようにも見えますが、現物を見ると完全なホームユース用で、しかもアメリカ製スピーカーユニットを見なれた人から見れば、かなりヘンテコリンなユニットです。 まず目に付くのは深く絞り込まれたコーン紙の形状で、しかも一枚の紙か布で作られており、そこに特殊な樹脂みたいなものが塗られており、まるでプラスチックか写真のフィルムの様な手触りでかなり薄く出来ている。 製法としては型板にコーン紙用の紙か布を張り、プレスしたのち樹脂を塗って成型したのだと考えられます。 コーン紙のカーブ、ボイスコイルからエッヂに到るまでの曲線が、どうも我々が見慣れているスピーカーユニットの様に均一に広がっていくというものではなく、所々変化している様で一筋縄ではいきません。 エッヂは布に生ゴムを浸み込ませたような感じで、もう50年以上経っているのに未だ弾力を保っています。 だが問題はコーン紙の奥に取り付けられている、ラテックスを振動体とした高音再生部で、デュオドは一見、12インチのフルレンジに見えますが、実際は同軸型なのです。 ここの部分が謎で、デュオド社が協力関係にあったと言われる、スコットランド人H.F.ハートリーが米国で設立したハートレー社製のものと同じように、二重ボイスコイル構造で、高音域専用のボイスコイルに、ラテックス振動板を組み込んであるのか、又は低中音用コーン紙のボイスコイルに取り付けてあるのかは判明していません。 ただ文献によればハートレー社製ユニット(220MSG/207MSG)の二重ボイスコイルはA.C.バーカーによって発明された原理に基づいて製造された、とあります。

デュオドの不動品があれば分解して調べることも可能ですが。 又米ハートリー社の特許である、マグネチックサスペンション機構が、ここに使われているか等も現状では判断できません。 いずれにしろハートレーとデュオドは何らかの関係があったようです。 他に特長としては、コーン紙に接続されたりリード線が異様に細いということで、こんな極細のリード線は今まで見たことがありません。 この例を見てもデュオドと言うスピーカーユニットが、恐ろしくデリケートな品であることがわかります。
デュオド(DUODE)という名は、英物理学者A.C.バーカーが1938年に開発した"DUODE COIL"から由来しています。 これは2重同軸巻線がプラスティック・フィルムで絶縁されたコイルと説明されていますが、先ほども書いたとおり、それ以上のことは秘密に包まれたままです。
デュオド本体の物理特性については、1958年の英国Hi-Fi YEARBOOKに12Cと12B-Cの二種が記載されています。 定格は12C型はボイスコイル径1.5インチ、磁束密度17000カウス、総磁束190000マクスウェル、入力15ワット、B-C型は磁束密度14500カウス、総磁束130000マックスウェルとなっており、B-C型の磁力が落とされているのは、エンクロージャーの型式への対応であるか又は、ウェストレックス社製トーキーアンプ同様に、スタンダードとアドバンスというクラス分けの意味合いを持っているか等についても、憶測するしかないのです。 インピータンスに関しては12C、B-C型共に、15、8、5Ωの三種類あると記載されています。 つづく
以上T氏

