2011年07月02日

デュオド物語 3

その性質とエンクロージャーの考案
デュオドの音とはいかなるものであるか? 一言で述べれば英国の真のホームユースの音であり、未だかつて我国のオーディオマニアが聴いたことの無い音と言えましょう。 しかし鳴らすのは相当難しいと言うより、鳴らないと言った方が良いかもしれません。 それは今までの私達のオーディオの常識からすれば、の話です。 つまりアキシオム80ぐらいで手こずっていてはまず無理で、それなりの専用エンクロージャーをあてがい、鳴らして差し上げなければならない代物と言った方が正解です。 しかしながら専用エンクロージャーについての資料がまず無い、英国Hi-Fi YEARBOOKにある専用エンクロージャー製作者の項を見ても、何処にもデュオド・スピーカーユニットの為のエンクロージャーは見つかりません。 そこで一応ロックウッド型のエンクロージャーを作り、デュオドを入れてみることにしました。 このエンクロージャーは内部に音響フィルターと別個の空気室を設けてあり、低部には10cmの円形ポートがあり、それをスライド板で空気の抜けを調整出来る様にしました。 これなら謎だらけのデュオドの特性と性格をテストすることが出来ると考えたからです。 さて実際に音出しをしてみると思った以上に鳴らない、まず音圧レベルが思ったほど上がりません。 通常デュオドの様な、強力なマグネットと軽量コーン紙の組み合わせは、オーバーダンプ気味ではあるが、能率が高いのが通例であり、デュオドの音圧レベルの低さはどうして起こってしまうのか。 原因はどうもコーン紙がエンクロージャー内部の空気圧に押されている様で、その為アンプリファイアーのボリュームを上げても一向に音圧レベルが上昇しないと言うことがわかりました。 どうやらこのロックウッド型エンクロージャーは、デュオド等よりもっと図太い性質のユニットの方が効果があるようです。 P1011121この問題は単にデュオドとロックウッド型エンクロージャーとのミスマッチによるもので、解決することが出来ますがそれより厄介なことがあります。 それは指向特性の悪さであり、実際に試聴してみると正面軸から15度の位置で聴いた場合、ほとんどスポイルされてしまうのです。 高域特性が低下して、フルレインジユニットのはずが、ウーファー並のレベルになっています。 これはどうしたことか、いかにロックウッド型エンクロージャーとミスマッチを起こしているとはいえ、ここまで指向特性が衰えるのは不可解なことです。 このロックウッド型エンクロージャーを用いたのは、デュオドがタンノイと同じ同軸型であったがゆえで、ロックウッド型エンクロージャーはタンノイの為に作られたものであり、ここまで高域の指向特性が悪くなるとは考えられません。 そこでロックウッド型エンクロージャーに組み込まれるべきはずの、タンノイのユニットを考えてみることにしました。 そこから論理的な推測をおこなって行けば、謎に満ちたデュオドというユニットの特性が浮かび上がってくるはずです。 さて、タンノイのユニットは衆知の通り、デュアル・コンセントリックと銘打たれたユニットの一番奥に、高音用の振動板を有し、ボイスコイル内に設けられたホーンスロートにより、低音用コーン紙をホーンカーブとして利用して、前方に音を放出する構造です。 高音部は完全に独立しており、レベルコントロールさえある。特性的に正面軸上で聴けば、低音高音が一つのユニットから出ており、それゆえ定位感に優れ指向特性が良好であると言われている。 物理特性的には確かにそうでしょう。 しかし聴覚上となるとこの話は少々怪しいのです。 私の経験上、タンノイの場合GRFやオートグラフを除いたレクタンギラー型と呼ばれるエンクロージャーに入れられたシステムは、音楽垂れ流しのPA用としては良いが、本格的なオーディオ再生に用いた場合、タンノイのユニットほど指向特性(物理的ではなくあくまで聴覚的に!!)の悪いユニットはありません。 しかしそれはタンノイのユニットのせいではなく、実は聴く方の人間の問題なのです。 このことは今までおそらく誰も言わなかったことだと思います。 つづく
以上T氏



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