2011年12月25日

デュオド物語最終回

New Vintage
デュオド専用エンクロジャーのヒアリング結果
試聴ではレコードプレイヤーTD124Mk.1、コニサークラフツマンAタイプ後期型そして、アームはTD124にはSMEをコニサーTYPE-Aには同社のものが組み込んであります。カートリッジはいずれもシュアーM44を使い、スペシャルゲストとしてタンノイ社のバリレラ型モノーラルカートリッジを加えました。 本エンクロジャーによる再生音は清澄な涼やかな音がまず特長として挙げられます。 音色の色彩としては、初めのうちはやや青みがかった綺麗なカラーで始まり、演奏が熱を帯びてくるとピンクから赤味がかったものになりますが、決して真っ赤になるという性質ではなく、その直前で白金のような輝きを持って爆発するような感覚を聴く人に与えます。 それはダイナミックであっても、真性のアクティブというものではなく、静的な爆発を持って音楽の真価を提示致します。
これらの音は決してスピーカーだけが出しているのではなく、PYE社製アンプリファイアー、グットセル社製アンプリファイアーの力でもあります。 レコードプレイヤーを切り替えると、再生音自体は基本的には変化しませんが、音の粒立ちと溶け合い方はかなり違ったものになります。 

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TD124の場合は、音の芯がしっかり残りながら、それをかみしめた時の歯ごたえや舌触りが強く感じられ、音楽の骨格が何より明快に再生されます。 一方、コニサークラフツマンTYPE-Aは、アングロサクソンのブルース感が全開となります。 トーレンスで感じられた音楽を的確に表現しようとする力は既に消え去り、ただ音色の多彩さが渦巻いて、オーディオ的見地からの低音、中音、高音等のバランスの是非はもはや意味を成しません。 ここに渦巻く音楽の魔的な力が全てを支配してしまうのです。 両者の力の在り方はデュオドスピーカーに対して、TD124は味覚的音楽バランスで音楽の本質に迫り、TYPE-Aは・・・ 触感、つまり手触りに属する表現力を具えています・・・、おかげでデュオドから再生される音のひとつひとつが掴みとれるのではと錯覚してしまうくらいです。 カートリッジをタンノイに変えるとTD124は音色に油が浮いた様な少しテラッた感じになりますが、コニサークラフツマンの場合はかなり立派な大人の音になるのが不思議なところです。 本来であれば結果は反対になるはずなのですが、タンノイとコニサーは同じ英国製なので行きつく所の音楽性は共通点があるため、このような結果が出たと思われます。 TD124にこのような音の油のり現象が発生するのは、アンプリファイアーとスピーカーが英国製ということによって英国人の集会にひとりスイス人が混じってしまったためだと考えられます。 
さて本機の再生音の特長を詳しく述べますと、気付くのは音のスピードが恐ろしく速いということです。 例えば当社の店内は端から端まで8メートルありますが、片側に設置した本機の音が反対側にあるクリプシュホーンが鳴っていると勘違いする程です。 RIMG0050これは考えてみれば当然で、構造的にはアルテックの小型ホーンと同じくらいの音道があり、なおかつ放射面積がバフル全体に及んでいるため効果はかなりあることになるからです。 プログラムソース的に言えばまず人間の声の滑らかさにはびっくりします。 マイクロフォンの存在を感じさせず、本当にそこに生身の人間がいるようです。 しかしそれはオーディオ評論家がしばしば用いる野暮ったい生々しさの表現とは別物です。 生々しくはあるが、決して生ではない、さらに生々しいという性格の音でしいて例えればカツオのタタキみたいなものです。生々しさを押さえることにより、更に生の良さ、品を引き出す、そういう音です。 弦楽再生は、小規模編成のものとオーケストラのような大編成物とでは性格がかなり変わります。 小さな編成では、演奏者のテクニックと音楽表現力、つまり何を言わんとしているかを聴く人に明瞭に提示しますが、オーケストラの方は、直接的なダイナミックさより、音が空間をどの様に進み熱していくかを如実に表します。 弦の再生、ヴァイオリンなどは鳥の羽ばたきより、鈴虫の羽根のかろやかな振動とすべきもので、魅入られるのです。 ジャズなどは、エロイの一言で、特にサックスの再生では変態性全開で、これではサックスではなくセックスではないかと、失礼。 そう感じられるのはアメリカの音、アルテックやJBL、ウエスタン等にあるPA的あからさまの公共的な音に慣れた人にとってはという但し書き付きです。 ジャズの本質を考えればむしろこちらの方が正解でしょう。 ピアノは本機の本質が示されます。 子供だった頃のある日、近所の裕福な家の二階から聞えてくるピアノの音です。 その音こそオーディオではまず出せない音です。 これはオーディオに興味のない人でもレコードの音か、本物のピアノの音であるか一発でわかる、あの音です。 その音がデュオドから、全く自然に何のてらいも無くスッと出てくるのです。 思うに、これこそRCAのオルソン博士が知ろうとしたものであり、40年代から50年代にわたり英国のオーディオに関係する人たちが目標としたものではないのかと。 
音の色彩感については、基本的には澄んだ青緑色ですが、やがて音楽が熱していくとピンクが勝って次第に赤色化していきますが、真っ赤にはなりません。 途中から白金色で音が輝き始めフォルテで爆発するようなエネルギー感があります。 しかし、それは決して動的なものではなく、あくまで静的なスタイルを保ちます。 ここらあたりが、英国流のスタイリッシュさというものかもしれません。 さて本機は2台製作されすでに買われてしまいましたが、先月そのうちのお一人の方を尋ねて様子をうかがってきました。 いわく、少々薄気味の悪い音で、深夜の鑑賞では怖くなることがあるそうです。 その方はタンノイの大型も所有されておりますが、すでにほとんど聴くことは無くなっているとのこと。 もう一人の方もA氏が九州まで尋ねてきましたが、この方もPYE社製アンプと組み合わせでお聞きになっており、ヴァイオリン再生などは本当に良かったとのことでした。 しかし同じものを再度製作することは今のところ考えていません。 製作者にとってみれば、以前AXIOM80用に製作したアーク型エンクロージャ同様、まったく割に合わないからです。 なにしろエンクロージャを説明するのに、これだけの紙面を要したのですから。 この項おわり
以上T氏



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