2012年02月16日

TD124 30000番台の謎

TD124Mk.1初期型から20000番台の終わりまでを見ると、細部において連続的変化が続いているのがわかります。 例えばアイドラーは初期のものは上下前面ゴム張り、次に上部のメタル芯部が露出しているもの、その後見慣れた上下が露出したアイドラーに変わっていきます。 スピンドル軸受けにしてもプラスティックからメタルに変わり、ステッププーリーは皿型から傘型に変化しています。 電源スイッチは英国製マイクロスイッチ(箱型黒プラスティック製)から、蝶番動作のオープン型に変更されていきます。 もちろんモーターも微に入り細に入り刻々と変化を遂げていきます。
RIMG0023これらの変更はTD124をより良いものに、とするトーレンス社技術陣の熱意の現れであり、このモデル自体の再生周波数レインジの拡張に大きな役割を果たしました。
ところが製造番号が30000番台に入った途端、このような変更がパタリと止まってしまいます。 30000番台で変更されたことといえば、モーターケーシングが平滑な仕上げから、しぼ加工又は耐熱塗装にされたくらいでしょうか。 とにかくほとんど無いのです。 そればかりか、内部トランスポートの部材がやや堕ちてきていたりもするし、製造時が異なるパーツ類の混在が目立ち始めます。 さらにシャシー塗装が、以前と比較するとあきらかに薄くなっています。 場合によってはプラッターに隠れる部位のシャシー塗装が余りに薄いために、下地が露出してしまっている個体も見受けられるほどです。
30000番台は再生音そのものは、確かに安定してきてはいますが、逆に言えば以前のモデルのように1台1台にある独自性が見られませんし、機器自体にある潜在能力そのものが落ちているのは否めません。 この落ちるという現象は、32000番台以降顕著になります。 なぜこのような現象がおきたのか、私には長い間の謎でした。 つづく
以上T氏



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