2012年04月15日
TD124アイドラー研磨
アイドラーの研磨は、実際にはどの様に動作しているのか知った上で行う必要があります。 どのように動いていると言うけれど、円運動に決まっているではないか。 果たしてそうでしょうか? TD124に取り付けられた大きなアイドラーが本当に円運動で作動しているのか、答えは否です。 これがガラード301のように回転軸の上下端が確定されていれば独楽のように動作しますから、おおまかな意味での円運動は可能でしょう。 TD124の場合、アイドラーの中心点が存在しない。 中央部はコの字金具から伸ばされたシャフトにすっぽり入るようになっており、シャフトとの間にわずかなギャップもある。 アイドラー自体がステッププーリーとメインプラッターにはさまれた形で動いている。 二つの接点を持ち、なおかつ中心部には穴が開き回転軸部をもたない。 これで完全な円運動が出来るわけがない。 TD124のアイドラーの動きはと考えて行くとステッププーリーとメインプラッターの接触面を結んだ線とアイドラーの回転エネルギーが放出された仮想の0ポイントを合わせた三角回転をしていると思えます。 それゆえアイドラーの回転中に中心部の真鍮製軸受けとシャフトが当たってノイズが出てしまう。
このようにして見るとTD124のアイドラーの回転の仕方はあまりうまくいっていないように見えますが、実際はそうではありません。 ステッププーリーから送られた回転エネルギーがメインプラッターに伝送された後のエネルギーゼロの0ポイントは回転に伴うキックバック(ステッププーリーとメインプラッターの共振とアイドラーの振動)の解消点として考えれば答えは自然と出てきます。 重要なのはステッププーリーとメインプラッターの接触面で円運動していれば良いのであり、それを可能にしているのがTD124の大きな口径をもつアイドラーなのです。 円が大きければ真円性の重要度は減少します。 これがトーレンス社の技術者の知恵です。 何しろ相手はゴムなので、制作上どうしても歪みが出てきます。 製品として量産しなければならないアイドラーホイールに完全な真円性を望むのは無理です。 ガラード301やコニサークラフツマン3等のように上下に回転軸部をもつタイプのアイドラーはどう動くのでしょうか。 アイドラーは宙づりになっていると考えたほうがいいと思います。 アイドラーとその保持部全体でキックバックを受け止めて、それによって見かけ上の円運動をアイドラーにさせているのです。
これまで書いてきたTD124のアイドラーの動きから推し量ると、実際の研磨はステッププーリーの反対側、つまりメインプラッターの当たる位置で研磨を行えばよいことがわかります。 いよいよ実際の研磨作業です。 用意したものは、紙やすり、耐水ペーパー、コンパウンド、ベンジン、板材(幅1cm×厚み3mm×長さ10cm)で、ここに両面テープで紙やすり、あるいは耐水プーパーを貼りつけます。 TD124のスイッチを入れアイドラーのプラッター接触面にヤスリを当てていきます。 初めの内は紙やすりにペースト状の真っ黒な汚れが付きますが、これはアイドラー内部から出てきた可塑剤が汚れて固まったもので、皮膚で言えば角質に相当します。 この角質を取り去るとアイドラー本体の真皮に行きつきますが、ここまで来るとペースト状の汚れは付かなくなってきます。 そしてここに到ってまだアイドラーの接触面がひび割れていたらそのアイドラーは残念ながら使えません。 この接触面の状態をざらついたものとするか、滑らかなものにするかは一筋縄ではいかないのです。 アイドラーの素材によってまた、そのTD124によって差が生じ最終的な判断は耳で確認する以外ありません。 以上の作業は入念慎重且つ経験を要しますので、残念ながらアマチュアの方にはお薦めできません。 それでもアイドラーをご自分で研磨してみようとする方、こちらでは責任は負いかねますので悪しからず。 つづく
以上T氏
このようにして見るとTD124のアイドラーの回転の仕方はあまりうまくいっていないように見えますが、実際はそうではありません。 ステッププーリーから送られた回転エネルギーがメインプラッターに伝送された後のエネルギーゼロの0ポイントは回転に伴うキックバック(ステッププーリーとメインプラッターの共振とアイドラーの振動)の解消点として考えれば答えは自然と出てきます。 重要なのはステッププーリーとメインプラッターの接触面で円運動していれば良いのであり、それを可能にしているのがTD124の大きな口径をもつアイドラーなのです。 円が大きければ真円性の重要度は減少します。 これがトーレンス社の技術者の知恵です。 何しろ相手はゴムなので、制作上どうしても歪みが出てきます。 製品として量産しなければならないアイドラーホイールに完全な真円性を望むのは無理です。 ガラード301やコニサークラフツマン3等のように上下に回転軸部をもつタイプのアイドラーはどう動くのでしょうか。 アイドラーは宙づりになっていると考えたほうがいいと思います。 アイドラーとその保持部全体でキックバックを受け止めて、それによって見かけ上の円運動をアイドラーにさせているのです。
これまで書いてきたTD124のアイドラーの動きから推し量ると、実際の研磨はステッププーリーの反対側、つまりメインプラッターの当たる位置で研磨を行えばよいことがわかります。 いよいよ実際の研磨作業です。 用意したものは、紙やすり、耐水ペーパー、コンパウンド、ベンジン、板材(幅1cm×厚み3mm×長さ10cm)で、ここに両面テープで紙やすり、あるいは耐水プーパーを貼りつけます。 TD124のスイッチを入れアイドラーのプラッター接触面にヤスリを当てていきます。 初めの内は紙やすりにペースト状の真っ黒な汚れが付きますが、これはアイドラー内部から出てきた可塑剤が汚れて固まったもので、皮膚で言えば角質に相当します。 この角質を取り去るとアイドラー本体の真皮に行きつきますが、ここまで来るとペースト状の汚れは付かなくなってきます。 そしてここに到ってまだアイドラーの接触面がひび割れていたらそのアイドラーは残念ながら使えません。 この接触面の状態をざらついたものとするか、滑らかなものにするかは一筋縄ではいかないのです。 アイドラーの素材によってまた、そのTD124によって差が生じ最終的な判断は耳で確認する以外ありません。 以上の作業は入念慎重且つ経験を要しますので、残念ながらアマチュアの方にはお薦めできません。 それでもアイドラーをご自分で研磨してみようとする方、こちらでは責任は負いかねますので悪しからず。 つづく
以上T氏