2013年01月23日

オーディオ女子

米国のダイエット産業は数兆円規模になっている。 少し前に読んだ記事。 ということは述べ数億人の米国人がダイエットに失敗し続けた結果としての数字。 オーディオ産業にも同じ時代があったに違いない。 買ってもうまくいかず、また買って失敗して、うまくいかずに途方に暮れて・・・。 オーディオ評論家、オーディオショップのアドヴァイザーに薦められたままに購入。 はやる心を抑え、リスニングルームに設置して音を出してみる。 『ウン、これまでで一番いい音だ』 と自信満々、胸を張って家人に聞いてもらう。 『うるさい』 『耳が痛い』 と言われるか、せいぜい『まーまーだね』 でも、しかし、ここには評論家が良いという装置だけしか置いていない、しかも高価だ。 彼女たちが間違っている。 これが良い音に決まってる。 そうだ、友人に聞いてもらおう・・・。 確かに、友人たちに聞いてもらえば、『良いですね』 『さすが』 と、誉めてもらえるに決まっている。 予定調和。 オーディオのブログには訪問記が山ほどあるが、ひとつとして貶しているものはないのだから、こういう友人のことばを真に受けてはならない。 そう、オーディオは、白黒のない、目に見えない音が相手だから、先入観を持たない遠慮のない、こじつけで音を聞くことなどさらさらない究極の批評家、つまり家族の女性に聞いてもらうに限る。 『これまでで一番いい音だから聴いてみてくれないかな?』 とリスニングルームにおいでおいですると、ほとんどの場合は無視される。 たまーに聞いてもらったとしても 『前のほーが、良かったみたい』が関の山、『いくらしたの、これ?』 と突っ込まれる。 『一番いい音だから』 と言っても信じてもらえない、そりゃそーだ、そのたびに裏切り続けてきたのだから。
『シューマンを聞いてみない?』 とか、『トラディションのいい曲があるんだけど』 と声をかけた時のほうが、長く聴いていただけることがある。 RIMG0294彼女たちは音を聴くのではなく、音楽を聴きにリスニングルームにやってくるのだから。 もちろん、これが音楽鑑賞の本来あるべき姿であり、レコードの音楽よりも音を聴いて欲しいというご主人のほうが、本筋からずれてしまっているのは明らか。 この音はどう? よりも Aimez-vous Brahms?  と訊かれるのを、彼女たちは待っている。 女子たちにしてみれば、オーディオの肝心要は音の鮮度やバランスではなく、気持ちの良い音量だ。 聴きたいのはシャーリー・コリンズ、それともパコ・デ・ルシア?  音を絞ればピントが合うように、実在感と音のボディがしっかりとしていく。 もし、好きな音楽が同じだったら、たとえばサティ。 だったら、女子に音量を決めてもらいましょう。 好きな音楽ならば、もっと気持ちいい音が出るように、女子にトーンコントロールをいぢってもらいましょう。 窓を開けて、近所にご迷惑にならないくらいの音量で、女子にサティを聞かせてもらいましょう。 音楽が湧きこぼれてくるようになるまで。 そんな装置があったらなあ。


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