2013年02月21日
ヴィンテージオーディオ機器ラック 2
ラックの設計思想と構造
わが国は有数の地震発生地域であり、それ故、いにしえより如何に振動に耐える建造物を普請するか知恵をはたらかせたものです。 この国の神社仏閣はよほどの直下型大地震でなければ倒壊することはありません。 数百年経った石垣でさえ崩れることはまれです。 耐震免震の技法がこれほど発達した国はありません。 惜しいことにこうした技術がことオーディオに関してはほとんど用いられたことはありませんでした。 振動の拡散と打ち消しの手法はオーディオ用ラックにたやすく転用できるにもかかわらず、ラックを製作する業者は素材の剛性や性格に頼ることしかしませんでした。 振動の処理に対する無策は再生音にてきめんに現われます。 もっと知恵をはたらかせなければなりません。
今回製作したラックの基本的な設計思想は日本古来の木造建築の耐震免震技術を応用したもので、振動を柔らかに吸収し拡散する五重塔と同じ動きをめざしたところにあります。 全体は8つのパーツから成り立っており、主要部の4枚の板材は蟻落し(材の組み方)で組まれています。 この蟻加工、引張りには強いが入れる方向には浮きやすい、そこで浮き上がり防止に木ネジで固定しておきます。 背板は4mmのシナ合板に枠桟を取り付け、ネジで本体に固定します。 最上部の蓋状の板は本体にかぶせて用います。 4本のボルトで本体に半固定しています。 中段の棚板は可変式で収納するアンプに応じて高さを変えることができます。 棚板は背板に3箇所木ネジで止め、ラック全体の強度を上げています。
一番下の板はMDF材で底板にネジで固定されています。 底板には移動キャスターが取り付けられ、又中央部に振動アースネジも装備されています。
このラックは振動可変により、レコードプレイヤのダンピング力を可変することが出来ます。 最上部の蓋を止めているボルトを締めたり緩めたりすることにより調整するのです。 その時重要になるのが、ラックに収納されるアンプの重量です。 重量によりラック自体の振動が変わるからです。 特に中段にそこそこに重量のあるアンプをいれると、音にしまりが出てきます。
このラックのもうひとつの特徴は組み立てに接着剤を使用しないことでしょう。 すべてネジ止めです。 接着剤を使用すると、強度は確かに増しますが、振動が一体化してしまい特有の共振が発生し、それが再生音に悪影響を及ぼすことになるからです。
ラックを使用して試聴してみる
ラックに機器をセッティングして試聴してみました。 実感として、アンプのトーンコントロールの利きが容易に聞き取れるようになったのと、レコードプレイヤの回転ムラ(アイドラの汚れによる滑り)がはっきりと認識できることです。
これで聴いているとアイドラの汚れ具合さえわかってしまうほどに、出力信号に濁りが減少します。 音質調整では最上部の蓋のネジの締め具合でプレイヤのダンピングが結構変化しますので有効です。 5本のうち、真ん中のネジが一番音質調整に効果的です。 又底部の振動アース用ボルトを直接床に接触させるのと離すのでは再生音の腰の据わりが変化するのが面白いところです。
このラックは知り合いの建具やさんに頼めば作ってくれるはずです。 一台だと高いが2台3台とまとめれば、金額は安くなるはずです。
設計図を以下に示しますので参考になさってください。 この項おわり 以上T氏
わが国は有数の地震発生地域であり、それ故、いにしえより如何に振動に耐える建造物を普請するか知恵をはたらかせたものです。 この国の神社仏閣はよほどの直下型大地震でなければ倒壊することはありません。 数百年経った石垣でさえ崩れることはまれです。 耐震免震の技法がこれほど発達した国はありません。 惜しいことにこうした技術がことオーディオに関してはほとんど用いられたことはありませんでした。 振動の拡散と打ち消しの手法はオーディオ用ラックにたやすく転用できるにもかかわらず、ラックを製作する業者は素材の剛性や性格に頼ることしかしませんでした。 振動の処理に対する無策は再生音にてきめんに現われます。 もっと知恵をはたらかせなければなりません。
今回製作したラックの基本的な設計思想は日本古来の木造建築の耐震免震技術を応用したもので、振動を柔らかに吸収し拡散する五重塔と同じ動きをめざしたところにあります。 全体は8つのパーツから成り立っており、主要部の4枚の板材は蟻落し(材の組み方)で組まれています。 この蟻加工、引張りには強いが入れる方向には浮きやすい、そこで浮き上がり防止に木ネジで固定しておきます。 背板は4mmのシナ合板に枠桟を取り付け、ネジで本体に固定します。 最上部の蓋状の板は本体にかぶせて用います。 4本のボルトで本体に半固定しています。 中段の棚板は可変式で収納するアンプに応じて高さを変えることができます。 棚板は背板に3箇所木ネジで止め、ラック全体の強度を上げています。

このラックは振動可変により、レコードプレイヤのダンピング力を可変することが出来ます。 最上部の蓋を止めているボルトを締めたり緩めたりすることにより調整するのです。 その時重要になるのが、ラックに収納されるアンプの重量です。 重量によりラック自体の振動が変わるからです。 特に中段にそこそこに重量のあるアンプをいれると、音にしまりが出てきます。
このラックのもうひとつの特徴は組み立てに接着剤を使用しないことでしょう。 すべてネジ止めです。 接着剤を使用すると、強度は確かに増しますが、振動が一体化してしまい特有の共振が発生し、それが再生音に悪影響を及ぼすことになるからです。
ラックを使用して試聴してみる
ラックに機器をセッティングして試聴してみました。 実感として、アンプのトーンコントロールの利きが容易に聞き取れるようになったのと、レコードプレイヤの回転ムラ(アイドラの汚れによる滑り)がはっきりと認識できることです。

このラックは知り合いの建具やさんに頼めば作ってくれるはずです。 一台だと高いが2台3台とまとめれば、金額は安くなるはずです。
設計図を以下に示しますので参考になさってください。 この項おわり 以上T氏