2013年02月25日

アメリカのカートリッヂ

フェアチャイルド・グラド・ピッカリングなど50年代モノーラルカートリッヂについて、音質はどうなの、とよく尋ねられます。 残念ながらこれらの製品にくわしくはありません。 が、大体推測することはできます。 思うにこれらのカートリッヂが持つ統合的な音楽表出力となると、たとえば英国LEAK社DYNAMICカートリッヂの足元にも及ばないと感じています。 アメリカのモノーラルカートリッヂに関して言うと、GEバリレラ型が良い出来であり、他のカートリッヂとなるとバリレラ型の二番煎じのように感じます。 GEバリレラ型を専用アームに取り付けて聴くと、真のアメリカ、こけおどしでない、みっちりとした音が出る。 押しても引いてもびくともしない、しっかりとした、ゆるぎない音はこの組み合わせではないと聴くことのできない音です。
ただ、アメリカのカートリッヂの実力が発揮されるのはSHURE社製M3D型カートリッヂによるステレオ再生まで待たなければならず、先に挙げたカートリッヂ群はGEバリレラとM3Dのつなぎ役にすぎません。 M3Dの良きアメリカ、豊かで親切、人間を信頼していた時代を思わせる音は聞き手にHERSHEY’Sのチョコレイトの味というか、何とも言えずリッチでありハクライのニオイがするのです。 そしてSHURE社製M44、このカートリッヂからもたらされる音は価格からは信じられないもので、この時代のアメリカのオーディオ技術力の高さをまざまざと知らしめる佳品です。 M44はこれまで何度も書いたように、アメリカが初めて世に出したワールドスタンダードを目指したカートリッヂでしたし、GEバリレラ型にしてもそうだと思います。 しかし、前に挙げたフェアチャイルド・グラド・ピッカリング等のモノーラル時代のカートリッヂとなるとM44が持つワールドスタンダードとしての力を持つかといえば、はなはだ疑問です。 となればこれらのカートリッヂはアメリカ製品として完成度が高いとは言えません。 何故ならアメリカのカートリッヂはワールドスタンダードの水準(大量生産でありながら万人に受け入れられる性能を備える)に到達して初めて、その実力と価値が発揮されるものだからです。  以上T氏


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