2013年04月14日

オーディオの本質 3

格別な音

追従を許さない格別の音を出そうとするなら専用の装置が必要となる、こうした考えがオーディオの絶対真理として深くオーディオマニアの心に刻まれてはいないでしょうか。 過去には馬鹿でかいホーンシステムや大仕掛けの5waysいや6waysのマルチスピーカシステムを製作したりしていたわけですが、結局はどれも期待したような音を出すまでに到ることはありませんでした。 再生装置が巨大化すればするほど、どんどん音楽か遠ざかっていきました。 オーディオマニアの多くが信奉する絶対真理に準じた論理的帰結が無残な結末を迎えたことを、今こそじっくりと思案してみるときだと思います。 ここで問題になるのは、モノに頼りすぎたということです。 レインジを拡げるために周波数帯域をそれぞれのユニットで分割したために起こったことなのです。 それぞれの帯域を受け持つユニットに優秀な製品を当て嵌めれば良い結果が得られるに違いない、と信じ込んでしまう人が実に多いのです。 良く考えてみてください。 マルチアンプによって駆動されるスピーカシステムの帯域分割は音楽信号の成り立ちに何の配慮も払われていないということを。 カートリッヂから出力される信号は原則としてひとつです。 ステレオの場合も左右でひとつの音になるように図られています。 

P1000244ひとつの信号を伝送ラインの最後あたりで必要以上に分割すればうまくいかないのは当然でしょう。 ヴィンテージ時代のスピーカシステムは2waysが基本なのです。 なぜなら3ways以上になると極力入力信号を固める必要が発生します。 そうしないと音がどんどん薄くなっていくからです。 こうしたモノに頼る傾向は何もスピーカだけに限ったことではありません。 どんどん大きく重くなっていったプレイヤだったり、出力がPA並みに巨大化したホームユースアンプリファイア等の存在はオーディオ的絶対真理が正しいという前提があって初めて成り立つのであり、いづれも特別な音を欲した結果として出現した品物です。 それでは特別な音を得んがために特別な装置を用意するということは間違っているのでしょうか? 私は間違っていないと思うのです。 ただ、やり方が悪いだけなのです。 それではどうすれば良いのでしょう? オーディオの本質をじっくり考え、オーディオ機器の何たるかを基本に立ち返り思案する、これに尽きるのです。 これから書くことはかなり理屈っぽくなりますので、それがイヤな方はここいらで下車して頂いたほうが良いかと思います。 つづく
以上T氏



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