2013年04月26日

ステレオ効果って? 3

演奏者と聴き手との間に距離を置く線引き、これがステレオ再生で最も効果が上がるとしてことこそ、オーディオを貧乏くさくいじましいものにしてしまった原因のひとつだったと私は考えます。 この線引きを解消する方法があるにはあります。 たとえば英HiFi YEAR BOOK(1957)にあるステレオ再生時のスピーカ配置写真を見てください。 GEC社製中型コーナー型スピーカを両サイドの壁に近く、背面の距離をほとんどとらずに内向きに配置されています。 これを見て、リニア再生を志向するユーザーは一番やってはいけない見本のようなステレオ配置だと指摘するでしょう。 その反面、この時代の英国製オクタゴナルシステムから再生される低域の伸びと中高域の拡散力は、米国や国産スピーカーとは比べるもなく優秀だということがこの写真からは見て取れます。 つまり、放っておいてもリスニングルーム内のエアヴォリュームを励起させる力を持ち合わせたシステムだということです。 それでモノーラル用大型スピーカに負けないくらいに空気を震わせることが出来たのです。 力に限って言えば米国製品だって絶対に負けてはいません。 強力なアンプを持って駆動すればPA並みの大音量が取り出すことができます。 両者の違いは米国製スピーカは直接音を重視しており、英国製スピーカは響きを重視しているということでしょう。 この違いがステレオ再生時に担う低音の役割と働き方の差となって顕れます。 
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すなわち左右量チャンネルによる低音部の音場合成力が米国式では二つのスピーカ間の距離がクリティカルに影響するのに対し、英国製システムではそれほどの精確は要求されません。 ずっと米国の影響下にあった我が国では伝統的にスピーカの壁からの距離、スピーカ間の距離、またスピーカと聴き手の耳までの距離などを精確に測って聴くのがあたりまえのことになっています。 本当に力のある音が出ているならば、こんなことに聴き手が時間を割かなくても済むのですが。 たしかにいくら励起する力がある英国製システムによる再生でもそれなりのノウハウは確かにあります。 その一つ、部屋に見合った大きさでなければなりません。 部屋の空気を振動惹起させるだけのスピーカの大きさがあれば十分なのです。 定位や方向感ではなく響きを重んじるステレオ再生には、どれだけの力のユニットにはどれだけの空間を有すればよいのか、経験に基づいた判断が必要とされます。 つづく
以上T氏


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