2013年05月04日

W.A.F.って?

あれはたしか、昨年の暮れのこと。 寒い風が吹く夜のこと。 ふらりとオフィスのドアを開けて入ってきたのが、見知らぬガイジン。 『チョット、ミセテクダサイ』 仕事をしながらミルシテインの小品が流れていた。 『それはラウザーのオーディオヴェクタというシステムだよ』 『アア、ラウザー!!』 『このプレイヤはコニサーだよ』 『アア、コレガコニサーナノ!!』 と、何故か知っている。 どこから来たのだと問えば 『イングランドカラヤッテキマシタ』 いろいろ話しているうち、カミさんが銚子出身で里帰りで付いてきたら、たまたまここがあったという。 そのうち外に出ていたT氏とお客さんが戻ってきて、皆で晩御飯をともにした。 何を話したかは忘れたけれど、極東の端の国、そのまた東の涯にある風強い小さな町で、こんなところがあるなんて信じられない、まあ見ず知らずの住人たちとこうして一緒にご飯を食べるなんて夢を見ているようだ、と彼は言う。 ブリガドーンを渡ってしまったような経験は、僕も彼の地で何度も味わわせてもらったから、彼がどういう気分でいるのか見えるようにわかった。
前置きが長くなってしまった。 話はこれからである。 
その後やりとりはしていたが、ちょっと面白いことを打ってきた。 『銚子で君に遭遇して音楽を聴かせてもらってから、僕のオーディオ感はずいぶん変わった。 高音質 Radio 3 internet stream を60年前も作られたスピーカードライヴァで楽しんでいる。 I love your phrase describing Wharfedale as "noble romanticist who dedicated their passions to sonority". Perhaps
that also describes us! どうもオーディオファイルという呼び名は僕らには不似合いでMusic Lover と呼ぶほうが当たっていると思う。 ところで、W.A.Fって知ってるかい? このごろオーディオの世界ではこの三文字が話題になっている。 Wife Acceptance Factor の略だ。 どうやったら装置が家庭に入り込むのを奥様に許してもらえるか。 その問題と対策を仲間同士で意見交換する。 これが大きな問題になっているのはどの国も同じだろう。 君んとこでは、どうやって奥さんを手なずけているんだい?』 僕んとこでは手なずける必要はない。 家人からみれば、これは趣味ではなく商売だからだ。 いくら装置を仕入れようが、問題ではないのだ。 これは商売だから。 W.A.Fの件、妙案がないわけではない。 ほとんどの家庭ではオーディオ好きのご主人は、居間で家族と音楽をシェアすることはない。 なぜならうるさくガンガンかけるし、独りよがりの音だから、同行の士にも誉め倒されるから、見栄を張ってますます家族の理解の範囲を超えていく。  装置の対貨にしても口に出してはいけない額だ。 そこで提案したい。 静かに音楽を聴くことを。 静かな音でも音楽がにじみ出るような装置で家族に『ナニ?』と振り向かれる音を流すことを。 もう、実験室のような窓もない個室でガンガンやっても、家族はますます離れていく。 ガンガンやるより静かで琴線に触れる再生音を流すのほうがはるかに難しいし、それだけにやりがいはある。 こころあるMusic Lover ならば、家族と仲良くなれる音をちょっと意識してみたら、いかがでしょう。 ひょっとして 『もっといい装置を買いましょうよ、あーた。』 というありがたいお言葉が舞い降りるかもしれないでしょう。 


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