2013年05月16日

英SOUNDSALES社スピーカシステム

英SOUNDSALES社のスピーカを聴かずして、英国の音の何たるかを語ることなかれ。 その音を一度でも聴いてしまったら、英国を代表するといわれるTANNOYやQUADがポピュリズムの精神で製作されたものであり、深英国(英国人のこころの奥にある音楽への深い傾倒)とは縁遠いものであることをたちどころに理解させられます。
それほどの音が出るスピーカユニットなのです。
音楽へ食い込んでいき、その実像を目の当たりに顕してくれる作品であります。 タフで狂喜を内に秘めたエンジニアにより作り上げられた傑作、それがSOUNDSALES社のデュアル・サスペンション・ユニットです。 わが国ではこれまでほとんど知られることはありませんでした。 なぜならこのユニットのほとんどはボイスコイルの断線、あるいはコーン紙の破損などにより、まともに鳴ったのを聴いた方はそうはいないはずですから。

SOUNDSALES社の略歴
わかる範囲で書いてみます。 まず言っておかなければならないことは英国のオーディオ人たちは米国とは違い自分のことをアピールすることをしません。 そのために英国の技術者たちの顔ははっきり見えてはこないのです。 1930年 R.N.ウェリントンにより設立、1935年より主にアンプリファイアなどの機材をB.B.Cに多数納入して業績を伸ばしていきます。 

SS Line up

SOUNDSALES社1956年のラインアップ

本品であるデュアル・サスペンション・ムーヴィングコイル・ユニットは1937年から開発されました。 同社のAZシリーズのアンプリファイアとシステムを組むことを前提とした音作りがなされ、1945年Phase Inverterキャビネットに収納されてロングセラーとなりました。 キャビネットは“Baffling Problem”(指向特性のアバレ)を解消すべく1945年に考案され、ユニット開口部に3本のイコライジング拡散フィンが取り付けられており周波数特性は30-13,000 c.p.s. でした。 このモデルは1959年仕様よりステレオ対応となり、ユニット名もデュアル・サスペンション・オーディトリウム・ユニットと変更されました。 ユニットに見る外見上の違いは巨大なマグネットからポールピース型になったこと、アルミダイキャストシャシの径がわずかに縮小されたこと、コーン紙が軽量になったこと等。 アンプリファイアのダンピングファクターが増大していったため旧型の大マグネットでは過制動による問題に対処し、音が詰まり気味になる問題を解消するために変更したのでしょう。 もうひとつ紹介したいスピーカーシステムはSOUNDSALES社のフラッグシップモデルTRI-CHANNEL です。 なかなかの意欲作です。 これも1937以来発案改良されてきたラビリンス型式の大型システムで、3台のデュアル・サスペンション・ユニットとツィータにはエレクトロスタティック式が採用されており周波数帯域は25-27,000 c.p.s、専用アンプリファイアとセットで発売されました。 マルチアンプ方式に準ずる再生方式という凝りに凝ったシステムだけに、たとえ現存しているにしても発売当時の再生音にまで復帰させるレストアは困難を極めることになりましょう。
1960年代前半になると、オーディオ・レコード雑誌への広告も見かけられなくなり、新製品評なども途絶えていますので、SOUNDSALES社はその頃に活動を停止したと判断します。 つづく
以上T氏


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