2013年07月27日

シュアM44-7とタンノイVARILUCTANCE

シュアM44-7は接続を変えればモノーラルカートリッヂとしても使うことが出来ます。 再生力からみると価格は高いが実は中途半端なモノーラル専用カートリッヂよりも優れている場合が多いのです。 本格的なモノーラルカートリッヂ(VARILUCTANCE MONAURAL CARTRIDGE 1955)と比較した場合、どの位の力量の差があるのか、一般ユーザーにはわからないことが多いのです。 グレイに来られて試聴なさった方はその差に驚かれます。 ここでは様々な年代のTD124を所有し、かつレストアしながら常日頃実験を行っているからです。 その他英国の名プレイヤ、フォノモータ、コニサークラフツマンやガラードのオートチェンジャも常に鳴らしています。 こうしたTD124以外のプレイヤにもシュアM44-7を組み込んでどのような音が出、また変化するのかを目の当たりにしています。 逆に言えば、いかにM44の優位性を知っていただけるか、のために実験試聴を重ねているともいえます。 タンノイ社製モノーラルカートリッヂは、モノーラル派の方々が一度は使ってみたいと思われるカートリッヂです。 

EPSON003

今日では残存する数も少なく、程度の良いものが極めて稀な品です。 テストに使用するのはTD124EMPORIUM(ステレオ用に使ったのと同じモデル)にSME3009シリーズ競◆璽爐よびコニサークラフツマン社製プレイヤとアーム、アンプとスピーカもいつも通りです。 TD124とSME3009の組み合わせで聴いてみます。 タンノイ社モノーラルカートリッヂがもたらす再生音は光に満ちたものです。 その光は外部からスポットライトで照らされた様なものではなく、音楽の内奥から湧き出し音そのものを全体然として覆う感覚を覚えるものであり、これにより音楽が何か不思議な光で照らされたような印象をもつのでしょう。 シュアM44-7は光よりむしろ柔らかな陰影を示しながら陰以外の光を自然に表現しています。 決して強いコントラストで音楽を表そうとはしません。 タンノイの場合音楽の主幹を成すべき音がまず前へ出てきます。 さらに音楽を下支えする音は後方に展開してしまいますが、この形が音楽の重要な個所に到ると、下支え音が前方に働き始め、初めに出ていた前方に出た音と融合して厚いハーモニクスを作り出すのです。 音楽の展開に応じてフォーメーションを創出している訳です。 シュアM44-7は、モノーラル再生においてステレオのような活発な動き方はしません。 全体的に音場は中等に位置し、そこから下支えする音は後方に下がり、前に出るべき音は音楽の環境にしたがって自然にすっと出てきます。 このすっと出る音がモノーラル接続にした時のシュアM44の長所で、シュアM44特有の追従性が働いている証です。 しかしこの音は多分にステレオ的です。 それも当然のことで、M44はステレオ用カートリッヂであって、純粋なモノーラルカートリッヂではありません。 例えステレオ的な音声が形成されたとしても文句は言えないのです。 音色に関しては、これはもうタンノイの独壇場であり、シュアM44は聴き劣りします。 しかし音色の艶の見事さは時に弱点になることもある。 プログラムソースによってはこの音の艶がかえって音楽の本質を損ねてしまうこともあり、音色が浮いてしまい、音の美しさがアダになってしまうのです。 シュアM44にはタンノイほどの音の艶がないかわりに素朴さがあります。 それが音に実在感をもたらし音楽を安定物にすることが出来るのです。 

TANNOY Variluctance

今度はコニサークラフツマンのプレイヤシステムで聴いてみましょう。 タンノイとシュアがTD124の時とはかなり違った傾向、反応力を示します。 タンノイの場合は音の輝きはやや抑えられ、音色が渋みに寄っていきます。 音の艶もこれ見よがしではなく、うっすらと薄化粧を施したような感じになるし、音場もTD124のように前に出過ぎることもありません。 不思議なことに、この音はDECCA Mk.2の音に驚くほど似ているのですが、それはコニサーとDECCA ffss( 我国ではMk.1と呼ばれる)の組み合わせではなく、コラロとDECCA Mk.2の組み合わせの音なのです。 違いとしてはタンノイの方がDECC Mk.1に比べ音の当たりが柔らかいと言ったところにあります。 シュアM44では音場そのものはTD124の時とそう変わりません。 これはシュアM44の追従力のなせる技であって、コニサークラフツマンのフォノモータはTD124と双璧の音楽力を持っているからです。 つまり能力が同等なら、出てくる音も同等であるのは自然なことです。 ここまでの試聴から推測出来る事を述べてみます。 タンノイ社モノーラルカートリッヂの本質はシュアM44のようなオーディオシステムのクオリティに反応して自らの能力を高めるものではなく、フォノモータやアームの音楽力・品格に反応するタイプであることが判ります。 RIMG0353フォノモータが違えばそれなりに反応はするけれど、あくまでフォノモータ、アームが同等の品格を所有していなければその良さは発揮されず、品格の落ちたフォノモータや品格そのものが存在しない無機的なフォノモータ(定回転こそ最も重要と考えるような品)では、タンノイのカートリッヂ固有の音の艶が1970年代米国製エンパイアのようなツルツル・テカテカな音になってしまうのです。 TD124にはMk.2もあり、これにタンノイのモノーラルカートリッヂを使ってみました。 音のキレはEMPORIUMやコニサーより優れていますが、音楽が平均化され音がうねらない。 音がうねらないと音楽そのもののエモーションが薄まり、サウンドとしては立派ですがタンノイ社カートリッヂの時代的な古さを遠慮なく暴く現象が発生してしまい、あまり聴いて楽しいものではありません。 シュアM44を叩き台としてタンノイのモノーラルカートリッヂについて書いてみました。 皆様がもし、求められるとしたらTD124を視聴に使用している販売店から買うとよいでしょう。 なぜならタンノイ社製モノーラルカートリッヂを使うにあたってTD124を使用するのが最低条件であるからです。 それ以下のフォノモータに取り付けてもタンノイのカートリッヂは微笑んではくれません。 以上T氏



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