2013年09月08日
再びカートリッヂの音の粗さ
かつてシュアM44は音の粗いカートリッジでHi-Fiオーディオにおいて初心者が使うべき品に過ぎないと言われていました。 これは定説として今日まで存在していましたが、これは誤りであるという見解が増えてきているのはうれしい限りです。 シュアM44の本質について多くを書きましたが、続々とシュアM44をお求めになる方が増えてきています。 しかし、いまだにM44の音は粗いと信じている方もおられるのも事実です。 そういう方々は音の粗さに対する基準そのものが曖昧で、理論性等は皆無であり、ただ信念として固持するだけで、音の粗さが意味する所を考慮してはいません。 そういうことではオーディオに限らず、人生そのものでも本質的な所を知らずに現象を平面的にしか考えられなくなってしまいます。
音の粗さは対象体によって定められる
もしかりに何の予備知識も経験も持たない人が初めてオーディオ装置で音楽再生音を聴いたとするなら、その音が緻密であるかまたは、粗いものであるか等は知ることは出来ないでしょう。 とするならオーディオでの音の粗さや緻密さといった感覚は相対的なものであり、経験の内にあることになる。 経験は人それぞれ異なっている訳で、音の緻密さや粗さといった言った認識も同じように異なるものです。 ですから人によって音の緻密さや粗さに対する反応は違ってきます。 ある人がこのカートリッヂの音は粗いと感じたとしても他の人はそうは感じない。 さらに音の粗さや緻密さに対する評価が後天的な経験に基づいたものであるとすれば、そこには比較すべき対称体があるはずです。 つまり何々のカートリッヂの音と比較して初めて、このカートリッヂの音は粗いといった具合に。 おおよそ我国のアナログ再生で、基準となるのがオルトフォン社製SPUでしょう。 ヴィンテージ雑誌をめくればSPU、SPUのオンパレードです。 評論家のみならず販売店側もSPUをカートリッヂの評価の基準にしているとしか思えません。 固定され、管理された固有の音色を持っているために必然的に、あるいは作為的にユーザたちの音の記憶槽にSPUの音が沈みこんでいるのです。 もう一つの対称体も考慮に入れておきましょう。 それは音の記憶槽に沈んだ様々なカートリッヂたちの音、その人が聴いたことのある音が混ざり合い緩やかに結合した音です。 通り過ぎて行った様々なカートリッヂたちがもたらす音の複合体であり、確固たる音の姿はとってはいません。 実在しない幻の音です。 だが、かたちとしては認識され、この音の複合体はそのいわれによって多面的でもあるのです。 対称体として、これを持つと自己も他人もまた困ることになる。 一向に自らが良しとする音を見つけ出せないために、時折他人に評価を定めてもらわねばならなくなるのです。 他の人に定めてもらったからといって、それでは満足出来すに自分の音は自分で決めたいと思うのが人情です。 そこで再び自分自身で理想とする音を見つけ出そうと歩み始めると、またすぐに迷路にはまってしまう。 実はこの複合多面体は回転しているのです。 回転するたびに違った面が出てきます。 頭の中でクレイジーダイアモンドが回っていると思ってもらえればよく、ダイアモンドの研磨面にその人の欲が光となってあたり、思い込みにより屈折するといった具合です。 したがって自らの信じるべき音を見つけようとするなら、頭の中で回転している自分勝手な欲や思い込みを止めなければならないのです。 それが出来ないから、また悩むことになる。 このようなタイプの方が多いのです。 訪れた方々との話しているうちに支離滅裂になってくると、あ!頭の中でクレイジーダイアモンドが回って、自分に都合が良いように捻じ曲げているとひそかに思ったりもします。 これで音の粗さや緻密さの認識の仕方が判り始めてきたのではないでしょうか。 つづく
以上T氏
参考ページ
高出力カートリッヂ
SHURE M44 あなどるなかれ
SHURE M44 あなどることなかれ 2
SHURE M44 あなどることなかれ 3
SHURE M44 あなどることなかれ 4
SHURE M44 あなどることなかれ 5
SHURE M44 あなどることなかれ 6
SHURE M44 あなどることなかれ 最終回
音の粗さは対象体によって定められる
もしかりに何の予備知識も経験も持たない人が初めてオーディオ装置で音楽再生音を聴いたとするなら、その音が緻密であるかまたは、粗いものであるか等は知ることは出来ないでしょう。 とするならオーディオでの音の粗さや緻密さといった感覚は相対的なものであり、経験の内にあることになる。 経験は人それぞれ異なっている訳で、音の緻密さや粗さといった言った認識も同じように異なるものです。 ですから人によって音の緻密さや粗さに対する反応は違ってきます。 ある人がこのカートリッヂの音は粗いと感じたとしても他の人はそうは感じない。 さらに音の粗さや緻密さに対する評価が後天的な経験に基づいたものであるとすれば、そこには比較すべき対称体があるはずです。 つまり何々のカートリッヂの音と比較して初めて、このカートリッヂの音は粗いといった具合に。 おおよそ我国のアナログ再生で、基準となるのがオルトフォン社製SPUでしょう。 ヴィンテージ雑誌をめくればSPU、SPUのオンパレードです。 評論家のみならず販売店側もSPUをカートリッヂの評価の基準にしているとしか思えません。 固定され、管理された固有の音色を持っているために必然的に、あるいは作為的にユーザたちの音の記憶槽にSPUの音が沈みこんでいるのです。 もう一つの対称体も考慮に入れておきましょう。 それは音の記憶槽に沈んだ様々なカートリッヂたちの音、その人が聴いたことのある音が混ざり合い緩やかに結合した音です。 通り過ぎて行った様々なカートリッヂたちがもたらす音の複合体であり、確固たる音の姿はとってはいません。 実在しない幻の音です。 だが、かたちとしては認識され、この音の複合体はそのいわれによって多面的でもあるのです。 対称体として、これを持つと自己も他人もまた困ることになる。 一向に自らが良しとする音を見つけ出せないために、時折他人に評価を定めてもらわねばならなくなるのです。 他の人に定めてもらったからといって、それでは満足出来すに自分の音は自分で決めたいと思うのが人情です。 そこで再び自分自身で理想とする音を見つけ出そうと歩み始めると、またすぐに迷路にはまってしまう。 実はこの複合多面体は回転しているのです。 回転するたびに違った面が出てきます。 頭の中でクレイジーダイアモンドが回っていると思ってもらえればよく、ダイアモンドの研磨面にその人の欲が光となってあたり、思い込みにより屈折するといった具合です。 したがって自らの信じるべき音を見つけようとするなら、頭の中で回転している自分勝手な欲や思い込みを止めなければならないのです。 それが出来ないから、また悩むことになる。 このようなタイプの方が多いのです。 訪れた方々との話しているうちに支離滅裂になってくると、あ!頭の中でクレイジーダイアモンドが回って、自分に都合が良いように捻じ曲げているとひそかに思ったりもします。 これで音の粗さや緻密さの認識の仕方が判り始めてきたのではないでしょうか。 つづく
以上T氏
参考ページ
高出力カートリッヂ
SHURE M44 あなどるなかれ
SHURE M44 あなどることなかれ 2
SHURE M44 あなどることなかれ 3
SHURE M44 あなどることなかれ 4
SHURE M44 あなどることなかれ 5
SHURE M44 あなどることなかれ 6
SHURE M44 あなどることなかれ 最終回