2013年09月12日
再びカートリッヂの音の粗さ 3
再生における音の粗さの本質
リニアオーディオの洗礼を強く受けた人ほど再生音における音の粗さの原因をカートリッヂによるものとしがちです。 だが、オーディオ機器は単独で働いている訳ではない、すべてのオーディオ機器はラインによって結ばれています。 したがって音の粗さや緻密さ等はシステム全体で考えねばなりません。 このことに思い至らず、ただカートリッヂを変換することにより、音の粗さや緻密さをコントロールしようとすれば自らのシステムの力量や働き反応力を認識することはいつまでたっても出来ません。 それではただカートリッヂの変換で音が変わったと喜ぶ永遠のオーディオ初心者です。 オーディオにある様々な現象には必ず理由がある。 その理由を知ることこそが真の愛好家であり、オーディオを高級な趣味として扱うことができる人です。 まず音の粗さから書いてみます。 前提としてただ音そのものだけを取り上げた場合、世の名器と言われるカートリッヂは総じて音が粗い。 EMI、DECCAもEMTはたまたNEUMANN製カートリッジも音そのものは粗いのです。 粗く作られている音、それは音楽をがっしり作るためです。 四の五の言わず音楽のコアをわしづかみにする。 したがって指の間から多少音がこぼれても意に介せず、必要なものは既に手の中にある。 この様な働きをするとどうしても音としては緻密さを感じられない。 しかし一方ではコアをしっかり握っているので音は太く力強くなる。 だがコアばかりでは、どうしても音が硬化しやすい。 こぼれ落ちた音の中にはそれ程重要ではないかもしれないが、音楽を音楽として有らしめるための要素があり、これをできるだけ損なわぬよう確保する必要があり、意外と重要でなかったようでも音楽を感じさせるきっかけとなる不可欠な音だったりもするのです。 そのために必要になるのが専用のアームである、前に上げた四つの品はいずれも専用アームが指定されています。 そうではないユニバーサル型のカートリッヂ(こちらの方が今は主流ですが)、たとえばシュアM44の場合はどうでしょう。 当時SHURE社はM232・M236アーム等を製造していましたがM3DやM7Dに適合するものでありM44専用ではなく、EPU100やffssのように完結されたシステムではありませんでした。 そうなるとカートリッヂ本体で対処しなければならなくなり、それを可能にする要素がM44の追従性にあるのです。 判り易く言えばM44はこぼれ落ちた音の処理をアームやプリに委ねなければならない。 そうしたM44をオルトフォンのアームに組み込むとオルトフォンアームのダンプ力によって、こぼれ落ちた音がかき消されてしまいM44が持つ追従性が発揮されにくくなります。 さらにカートリッヂにおける追従性の自在さを考えれば、本来ユニバーサル型カートリッヂにはM44程ではないにしても、それなりのものが必要になってきますが、M44ほど自由自在に追従力を示す品はそうは見当たりません。 理由として考えられるのは、シュアM44以降のステレオ用カートリッヂは作品としての製品性よりも商品としての形態が勝っているからです。 商品であるためには、M44のように自らの姿を消しさる、それ自体が商品としての存在意義を喪失させるに等しいまでに消し去ることできるからうつくしいのです。 つづく
以上T氏
Pretty long acquaintance
英DECCA ffss カートリッジの真の姿を探る
英DECCA ffss カートリッジの真の姿を探る 2
シュアーM44の針圧適正値
リニアオーディオの洗礼を強く受けた人ほど再生音における音の粗さの原因をカートリッヂによるものとしがちです。 だが、オーディオ機器は単独で働いている訳ではない、すべてのオーディオ機器はラインによって結ばれています。 したがって音の粗さや緻密さ等はシステム全体で考えねばなりません。 このことに思い至らず、ただカートリッヂを変換することにより、音の粗さや緻密さをコントロールしようとすれば自らのシステムの力量や働き反応力を認識することはいつまでたっても出来ません。 それではただカートリッヂの変換で音が変わったと喜ぶ永遠のオーディオ初心者です。 オーディオにある様々な現象には必ず理由がある。 その理由を知ることこそが真の愛好家であり、オーディオを高級な趣味として扱うことができる人です。 まず音の粗さから書いてみます。 前提としてただ音そのものだけを取り上げた場合、世の名器と言われるカートリッヂは総じて音が粗い。 EMI、DECCAもEMTはたまたNEUMANN製カートリッジも音そのものは粗いのです。 粗く作られている音、それは音楽をがっしり作るためです。 四の五の言わず音楽のコアをわしづかみにする。 したがって指の間から多少音がこぼれても意に介せず、必要なものは既に手の中にある。 この様な働きをするとどうしても音としては緻密さを感じられない。 しかし一方ではコアをしっかり握っているので音は太く力強くなる。 だがコアばかりでは、どうしても音が硬化しやすい。 こぼれ落ちた音の中にはそれ程重要ではないかもしれないが、音楽を音楽として有らしめるための要素があり、これをできるだけ損なわぬよう確保する必要があり、意外と重要でなかったようでも音楽を感じさせるきっかけとなる不可欠な音だったりもするのです。 そのために必要になるのが専用のアームである、前に上げた四つの品はいずれも専用アームが指定されています。 そうではないユニバーサル型のカートリッヂ(こちらの方が今は主流ですが)、たとえばシュアM44の場合はどうでしょう。 当時SHURE社はM232・M236アーム等を製造していましたがM3DやM7Dに適合するものでありM44専用ではなく、EPU100やffssのように完結されたシステムではありませんでした。 そうなるとカートリッヂ本体で対処しなければならなくなり、それを可能にする要素がM44の追従性にあるのです。 判り易く言えばM44はこぼれ落ちた音の処理をアームやプリに委ねなければならない。 そうしたM44をオルトフォンのアームに組み込むとオルトフォンアームのダンプ力によって、こぼれ落ちた音がかき消されてしまいM44が持つ追従性が発揮されにくくなります。 さらにカートリッヂにおける追従性の自在さを考えれば、本来ユニバーサル型カートリッヂにはM44程ではないにしても、それなりのものが必要になってきますが、M44ほど自由自在に追従力を示す品はそうは見当たりません。 理由として考えられるのは、シュアM44以降のステレオ用カートリッヂは作品としての製品性よりも商品としての形態が勝っているからです。 商品であるためには、M44のように自らの姿を消しさる、それ自体が商品としての存在意義を喪失させるに等しいまでに消し去ることできるからうつくしいのです。 つづく
以上T氏
Pretty long acquaintance
英DECCA ffss カートリッジの真の姿を探る
英DECCA ffss カートリッジの真の姿を探る 2
シュアーM44の針圧適正値