2013年11月07日
ピエール・クレマン 2
仏クレマン社の業務用プレイヤーシステム
最後の一台です。 約一年半のレストアを経てからキャビネットを製作し、ようやく完成しました。 レストアに多くの時間を費やしたのは本機が7年の間動かされておらず、モーターが仕方なく回るという程度のものであったからです。 トランスポート部は完全に固まって、レバーが折れるほど強く動かさないと動作しない状態でした。 モーターを分解し、トランスポート部も固まった部分を外し、クリーニングと研磨・注油を施して後、調子が出るまで一年余り動作させ続けなければなりませんでした。 最も手を焼いたのはモーターでした。 スタジオ用プレイヤの場合、モータ単体のバランスは測定器にかけ入念に調整を行います。 頼るのはカンと経験、粘りで対処するしかありません。 そのためモータが完全に動作する(音楽表現の獲得)まで8カ月を要しました。 その甲斐あり、これまでクレマン社のプレイヤーをレストアした中でSN比という点では最も良いモーターが出来あがりました。 キャビネットは本機のために新しく構想を練り直し作った物で構造を書くのは大変なので見送ります。 再生音については、今まで紹介してきたものと同じなのであえて記述いたしませんが、特長としてはアームの動作やカートリッヂの音色の差位に恐ろしく敏感に反応するシステムであると思います。
もちろんトーンアーム(ダイナミックバランス型)は全ての部品を分解クリーニングして、再組み上げ調整を念入りに作業しておきました。 さらに本機は音の飛びと拡散力が強力であることを聴きとれますが、これはプレイヤー自体のSN比が高いため、そう感じさせるのだと思います。 それゆえ78回転用カートリッヂを用いての78回転盤の再生は目を見張るものがあり、今までの78回転盤の常識を全部ひっくり返すような高エネルギーで切れのある、そして艶のある音が出ています。 78回転レコードはSN比の高いアイドラープレイヤーでなければ78回転レコードに内含された音楽情報の本質的な部分を現してはくれないことがはっきり認識できます。
78回転再生において、音楽の核心を希求するならダイレクトドライブモーターやベルトドライブ型プレイヤーでは多くは得られないことを肌で感じさせる音であります。 入念に調整したクレマンのトランスクリプションデッキ、フランス盤とフランス音楽を鑑賞するには欠くことのできない装置であることも確かです。 この項おわり
以上T氏
最後の一台です。 約一年半のレストアを経てからキャビネットを製作し、ようやく完成しました。 レストアに多くの時間を費やしたのは本機が7年の間動かされておらず、モーターが仕方なく回るという程度のものであったからです。 トランスポート部は完全に固まって、レバーが折れるほど強く動かさないと動作しない状態でした。 モーターを分解し、トランスポート部も固まった部分を外し、クリーニングと研磨・注油を施して後、調子が出るまで一年余り動作させ続けなければなりませんでした。 最も手を焼いたのはモーターでした。 スタジオ用プレイヤの場合、モータ単体のバランスは測定器にかけ入念に調整を行います。 頼るのはカンと経験、粘りで対処するしかありません。 そのためモータが完全に動作する(音楽表現の獲得)まで8カ月を要しました。 その甲斐あり、これまでクレマン社のプレイヤーをレストアした中でSN比という点では最も良いモーターが出来あがりました。 キャビネットは本機のために新しく構想を練り直し作った物で構造を書くのは大変なので見送ります。 再生音については、今まで紹介してきたものと同じなのであえて記述いたしませんが、特長としてはアームの動作やカートリッヂの音色の差位に恐ろしく敏感に反応するシステムであると思います。


以上T氏