2013年12月02日

TD124 Mk.欺藉型の新品時とレストア完了時の能力の違い

グレイでレストアする通称EMPORIUM仕様と呼んでいるTD124初期型モデルが、その新品時とどれくらい能力差があるのだろうかと考える事があります。 確かにTD124の新品の音を誰も聴いていないことだけは確かです。 レストア品と比較する新品TD124なんて今では存在しないのですから。 たとえ当時の箱入り新品未使用の個体があったとしても50年以上の年月が経過していて劣化は免れない、それどころか正常に動作するかどうかさえも疑問です。 使わなかったということは文字通りデットストック(死んだ状態)であり、そのまま動かしても当時の音はまず出てくることはありません。 ですから推測、憶測を重ねつつ想像力で推し量るしかないのです。 そして冷静に比較をすると次のようになります。 まずゴムベルトやモータ吊り下げ用ブッシュゴムはオリジナルの方が優れている。 SCHOPPER氏も随分工夫を重ね努力しているが、どうしても当時のゴムの柔らかさが出てこない。 SHOPPER氏によれば原料そのものが当時と異なっているので、如何にファクトリ・グレードで製造していても、まったく同一の質感を踏襲するには無理があるとのことです。 現時点でSHOPPER氏の製作するベルトやゴムブッシュがベストであるのは間違いありません。 が、これはマイナス点。 シャシやミッション部は当時より今の方が良い状態だと思われます(シャシの塗装のヤレを除けばですが)。 それは経年変化の良い方の効果、金属が落ち着いてくることにあります。 そのうえクリーニング研磨によって量産品では不可能であった一つ一つのパーツのムラを取り除くことができる。 これはプラス点。 thorens td124アイドラーは新品時の方が断然良いのが当たり前ですが、TD124のアイドラーは50年の年月に良く耐えて、今でも充分実用になる品が結構あります、が、やはりポイントではマイナス点を付けざるを得ません。 モータの性能は当時より随分能力が上がっていると私は確信しているのでプラス点を付けます、が、すべてのモータが合格点とは限りません。50年余という年月がモータにもそれなりの負担を強いていたことは否めないからです。 ステッププーリ部はやはり新品の時の方が優れていたと思われますが、ある程度回された方が新品より状態としては良くなるものです。 しかし、これはケースバイケース、良い品もあるし悪いものもある。 したがってポイントはプラス、マイナス両方存在するのでイーブンということにします。 センタースピンドルについては新品時は狂いが生じておらず良いと考えられますが狂ったスピンドルボックスのプラスティックリングを修正することにより、かえって精度が上がるということも考えられるのでこれもイーブンとすべきでしょう。 ここまでの点数を合わせてみると総合的にはイーブンではないかと判断するのが妥当でしょうが、私としてはレストア品の方がチョイ上ではないかと考えています。 それは機械として量産されたものを新たに調整し直す(ファインチューニング)によりTD124初期型の能力が大変纏まりのあるものに変わって行き、結果として再生音が新品時より良好なものになっているかもしれないと感じるからです。 ここで新品よりチョイ上では大したことではないと皆様は思われるかもしれません。 それは正しい判断ではありません。 たとえば50キロしか出ない車を100キロで走らせるのと300キロで走る車を350キロまで上げようとする場合、変速の意味が本質的に違います。 限界の意味が違うのです。 新品とレストア品の差も同じようなことです。 初めから完成度の高いものをさらに上げようとする時、新しい思想を用いなければ出来ません。 これが最も重要であって、これがないと、TD124を現代に蘇らせることは出来ないのです。
以上T氏



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