2013年12月11日

TD135の現在と未来

一石が投じられることにより漣が生まれ、やがて対称物にあたり、そうして新たな波紋が生まれて行きます。 TD135の評価は正にこれです。 これまでTD124のコストダウンモデルと思われていたTD135が実はTD124では出すことのできない固有の音色と音楽再生能力を持っていることがユーザに知られつつあります。 優れた力を持つTD135 にも関わらず、グレイでは積極的な販売してはきませんでした。 TD124のレストアの合間に時々TD135を初期性能まで復帰させて、細々と販売していました。 そればかりか、一時はTD135のレストアをやめようと思ったこともありました。 販売側の労力と時間がかかりすぎるからです。 RIMG0130TD124のレストア以上に手間がかかるのです。 特にアーム廻りの調整はTD135に標準装備されているBTD-12Sアームを完全に分解し、クリーニングと調整を行わなければ格別の音質は得られません。 BTD-12Sアームにはさらにアームリフタとオートストップ機構が組み合わされていて、本体だけでなくこの部位も円滑に動作させるように入念な調整と点検が不可欠になります。 さらにアームはモータの起動スイッチの役割も果たしています。 これらをすべてクリアしなければまともに動かない、ということはまともな音質も得られないのです。 また、たとえ動いたとしてもどこかに不調があると再生音に歪みがあったり、バランスが悪くなってしまうのです。 こんな面倒な仕事、時間と手間がかかり過ぎて誰もやりたくはないでしょう。 でも最近は少し考え方が変わってきています。 グレイで販売したTD135を入手されたお客様からのお便りをたくさんいただいたからです。 押し並べてTD135の音がこんなに良いとは思わなかった、すべてのレコードをこれから聴き直すといった類のご感想のかずかず、これには驚かされました。 二つの意味で驚かされました。 まず一般ユーザはこのくらいの音で良いのかという驚き。 次に、この程度の音が今まで出せなかったのか、という驚きです。 RIMG0146TD135 Mk.気硫擦浪燭亮茲衫てて目立った特徴のない、ごく普通の音です。 TD124 EMPORIUMのように堂々たる低音と深い伸びもないし、Mk.兇里茲Δ弊,鵑盛皸茲盻个討海覆ぁ あたり前の音ですから、レコード音楽をたっぷり楽しめる音です。 そのあたり前の音さえ出すことが出来なかった。 これではアナログオーディオが死にかけていても何の不思議もありません。 ごく普通の音が出て、時々はハッと目が覚めるような音が出せるレコードプレイヤ、それも面倒な操作もいらず、メカニカルな知識も必要ない、ユーザがレコードを聴くに際して電源スイッチを入れ、アームをレコードに持っていき、アームリフタを動かしてカートリッヂを盤面に下ろす、演奏が終われば自動的にスイッチが切れ停止する。 普通の音でありながら意外性を内に秘めた再生音が噴きこぼれるように出てくる。 これがTD135の特長でしょう。 一般ユーザであるお客様からのお便りをつらつら考えていると、どうやら風向きが変わってきたのではないかと感じています。  そこでTD135に本来備わっている能力を再認識すべくレストア法を新しく練り直して実行に移すことにしました。 結果としては今までに出なかった音をTD135から出すことに成功したと確信しています。 レストアの仕方を簡単に述べます。 まずTD135の鉄板プレスシャシの無塗装部分の徹底した磨きです。 今まではここの所はある程度磨いてはいましたが、今では水ペーパを使って完全に経年変化による錆を除去し、その後コンパウンドで研磨、そしてワックスをかける。 音の鮮度が著しく変わります。 さらにアルミ鋳物プラッタを内側と外側を、顔が映るくらいまで磨くのです。 磨き過ぎてもまずいのでその加減が難しいのですが、これにより不要な残響が消えスッキリとした見通しの良い音場が得られます。 モータはTD124で良く使う自動調芯性を制限する方法ではなく、もっと自在にピーナツがロータの動きに追従し、しかるべき時期が来たら定位置に収まるようにしました。 その結果以前はやや硬直気味であった再生音が伸び伸びと出せるようになります。 そうしてTD124の30000番台のモータと同じものが入っているTD135からとても良好な結果が得られました。 いや、むしろ30000番台のTD124よりこちらの方がバランスは良いくらいです。 最近にみるTD135やTD134などのTHORENSのミッドプライスプレイヤ群の人気の高まりはヴィンテージオーディオの分野に留まらず、現代オーディオの領域にも影響を及ぼすことになるでしょう。 なぜならレコードプレイやとしての完成度の高さの割に価格がそれ程でもない。 適正な価格、作り手の台所事情に左右されないことが現代ハイエンドオーディオという巨大戦艦に大穴をあける魚雷となりうる可能性があります。 RIMG0149さらにTD135は欧州では人気が出ているようで、以前よりずっと高額で取引されるようになりました。 この様な現象が起こるには、TD135がきちんと往年の姿に戻らねばならなりません。 そのためにはTD135の本当の音とはどのようなものかをはっきりと示すことが重要です。 それゆえこれまでより多くのTD135やその他ミッドプライスプレイヤをレストアすることにしました。 私はTD135のスタンダードとしての形を示したいのです。 だが、それはグレイの販売品として示すのが最も有効な手段であると考えています。 そのため原則としてTD135のレストアの依頼は受けておりません。 それはユーザのためでもあるです。 現在入手できるTD135はほとんど不動品と思ってもらって結構です。 しかも壊れているかどうかも判らない。 そのような品をインターネットで素人が入手しても丸損してしまうか、たとえグレイにレストアを依頼されて直したとしても、下手をしたらグレイの販売品を買うより高価な代償を払うことになってしまうのがオチでしょう。 以上T氏
参照記事
TD135とTD150とTD126
TD135についてもっと
TD135のコンセプト




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