2014年04月02日

トーンコントロールのこと 2

リニアオーディオとトーンコントロール回路

アンプリファイアの使命はカートリッヂから送られてくる信号を出来るだけ損なわず、一直線にスピーカまで到達させること。 1970年代になるとこういう思想がオーディオ界に登場します。 知る限り、日本製アンプのトーンコントロールは本来の役目をほとんど果たすことなく、アクセサリとして気休め程度についていたのがほとんどでした。 ご丁寧にキャンセルスイッチまでついていました。 もっと突っ込んで言えば、入力信号にはたらくのではなく、スピーカの補正に使用されていました。 スピーカをイコライジングするトーンコントロールです。 この方法はレコード再生にではなく、PAに使用されるべき手法で、音の加工用であり、レコード再生特有のファクタである響きや音色にはひっかかりもしないトーンコントロールなのです。 リニア思想の矛盾点を突くとすれば、ここにあります。

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リニア思想は、CDの出現に至ってがぜん優位に立ちます。 CDの音源としての完成形それ自体がトーンコントロールを時代遅れの回路としたのです。 そしてCD再生と同じ方式でアナログを再生する再生装置がいつの間にか主流になりました。 事実、トーンコントロールを具えたアンプリファイアを製作するメーカは今日ではもう見当たりません。 ちゃんとレストアされないヴィンテージアンプリファイアを嫌うレコード愛好家は現行品を甘んじて使用するしかなくなったのです。 そんなアンプリファイアを長い間聴いているうちに、レコード愛好家はトーンコントロールの必要性を忘れていきます。 耳が順応し、いつの間にか音楽ではなく、音を聞く耳に退化していったのです。 音色や響きではなく、まず低音や音場をまず言及する人たちの話を信じてはいけないのです。 
リニア思想によるアナログ再生は、レコードをCDと同じように扱っています。 しかし、レコードとCDでは根本に差異があります。 CDはデータの集合体であり、レコードは音楽の断片の集合体です。 断片の集合体を整えるために、特別な回路がプリアンプにはあるのです。 録音特性セレクタとトーンコントロールがそれです。 逆にこれらはCD再生には絶対必要ありません。 リニア思想はアナログ時代には芳しい結果を得ることはできませんでしたが、CD時代になると水を得た魚のようにいきいきしているのは、こうした理由があるからです。 リニア思想にとって目の上のたんこぶだったさまざまな可変装置をアンプリファイアの中から何の未練もなく追い出すことが出来ました。 アンプ製作者たちはもともと優れたトーンコントロールを作る術も感覚も持ち合わせてはいなかったのです。 我が国のアナログレコードの音質水準を考慮すれば、当然の帰結でした。 彼らが製作するアンプに何故トーンコントロールがついていないか、私は明確な答えを聞いたことがありません。
何も加えない何も引かない、原音主義、という旗印のもとにアナログ再生に励んできた方々は気づいているのでしょうか。 ひたむきなまでのアナログ再生が、実はCD再生と同じ道をたどっていることを。 つづく
以上T氏


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