2014年04月18日

TD124からTD135Mk.2までアイドラ・ベルト機種の実体

これまでトーレンス社が製造したアイドラ・ベルト機構を有する機種について、さまざまな見解を述べてきました。 しかし、それらは形態の注釈がほとんどであり、真の姿を描いたものではありません。 そこでこれらの機器(TD124/TD134/TD184/TD135/TD135Mk.2)の本当の姿とはたらきを示してみるつもりです。 判る人には判るという類いの話ですが。

TD124の実体
最近、作業場にアナログシステムを備えました。
レコードプレイヤはTD124でもコニサーでもなく、スイス製で英国で販売されたGOLDRING-LENCO銘のものです。 組み合わせるアンプリファイアとスピーカに比べて明らかに弱いということはテンからわかっていたので、念入りにコンソールを作製し、なおかつフォノモータの性能を極限にまで向上させておきました。
それでも、TD124やコニサにはかなわない。 SN比など数値の点に関してはひけをとらないけれど、それでも負けています。
再生音を注意深く聴いていくと、LENCO L88フォノモータはTD124やコニサーとは音楽再生における演出力が決定的に不足していることを思い知らされます。
レコードプレイヤにある能力の高さを決定付けるのは、この演出力の在りかたでした。 レコードが原作者だとすれば、カートリッヂは脚本家、アンプリファイアは監督、スピーカは表現者(俳優)となり、全体を仕切る統一された力のふるまい方を如何にすべきかを配慮する力を有する名演出家、これが真のアナログプレイヤのあるべき姿だったのです。
RIMG1044演出力がTD124やコニサーといったレコードデッキが有する本当の姿となると、大変な間違いがまかりとおっていたことになります。 我が国にはレコードプレイヤに演出力など無用という風潮が支配してきました。 回転速度が正確で、ノイズがなく、フリーメンテナンスで余計なことをせず、何も加えず何も引かずに動作していれば良い、レコードを乗せて回る台くらいにしか扱われていませんでした。 アンプとスピーカに関しての記事や情報の量が膨大だったのに比べ、プレイヤに関する記事はごく少なかったのはご存知のとおりです。 つまり、我が国のアナログオーディオは優秀な演出家であるレコードプレイヤが不在という間違いをしでかしていたのです。 こうなると困惑するのはシステムの中では俳優であるスピーカでしょう。 自分がどう演じたらよいのか、指示してくれる演出家はおりません。 仕方がないので監督であるアンプリファイアに頼らざるを得ない。 ところが監督は台本のト書きどおりにやればよいと繰り返すだけ。 たまらずスピーカは脚本家であるカートリッヂに尋ねてみると、自分は台本にアレンジするだけの役割だから、とそっけない。 俳優(スピーカ)は原作者(レコード)にまで足を運びますと、俺は原作を書いただけだからそんなことは知らん、と突っぱねられる始末。 とうとう俳優、途方にくれて天を仰ぐ。 これではまともな音楽再生ができるわけがありません。 真のアナログ再生を行おうとするなら、かならずセンスの良い演出家が不可欠です。 ここで言うセンスが良いというのは、俳優に表現させる上で気持ちの良い自由さをもたせることでしょう。 手を何センチだけ動かせとか、秒速何キロで下手から出てこいなどという感性のない演出家ではないことはお分かりでしょう。 世の中にはそうした杓子定規なプレイヤも結構存在しているものです。
ヴィンテージ時代の創始者たちは、演出力をうまくこなしていました。 それに引きかえ、このセンスを持ち合わせていなかった典型的な人たちが我が国のオーディオの主流を占めたという事実は本当に残念なことです。 それだけに、本来の性能を備えたTD124、コニサー、コラーロで音楽を聴くことが出来るユーザの驚きは、当然といえば当然のことです。 システムの仲間ににセンスの良い演出家を迎えることが出来たのですから。  つづく
以上T氏

中断している 『トーンコントロールのこと』はこのシリーズが終了次第、つづきを載せる予定


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