2014年08月01日

トーンコントロールのこと 7

トーンコントロールと音の鮮度

トーンコントロールを使用すると音の鮮度が落ちる、頑なにそう信じる人が本当に多いのです。 そのような方こそ、ヴィンテージ時代の英国のアンプリファイアでレコードを聴いてほしいものです。 音の鮮度が落ちることなく、かえって利得が上がったかのように、音が生き生きと、匂い立つように躍動するからです。 
たしかにトーンコントロール使用時における劣化(鮮度落ちや利得減衰など)の都市伝説は、いまだにオーディオマニアのこころの奥に残っているのも事実です。 しかしこうしたあやまったオーディオ思想をただ間違いであると主張しても、無駄なことです。 なぜならこれに気づいた人はとっくに改めているからです。 反対にうすうす気づいていても、何らかの事情で(ほとんどの場合、未練)変えない方は、これからもずっと同じ道をたどればよいのです。 これは趣味の世界です。 しかし、それでは私の気持ちがおさまらないので、トーンコントロールと音の鮮度について、何らかの根拠といわれを考察して書くことにします。 
まず音の鮮度と利得減衰の例として二つのプリアンプについて述べてみます。 最初に米国製オーディオリサーチ社のSP3型を取り上げます。 1973年製、当時米国では唯一の真空管式プリアンプであり、ハイ・ディフィニション(高解像度)がウリでした。  トーンコントロールをパスして再生するとジャズなどは目の覚めるような元気で電気臭くてストレートな再生音を出してくれますが、トーンコントロールのスイッチを押した途端、音の鮮度が失われます。 利得も極端に落ちてまったく元気の無いボケボケの音に堕してしまうのです。 

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もう一つの例は英国QUAD33 と 44のトランジスタ式プリアンプです。 これらのアンプもトーンコントロールをONにした途端に鮮度が落ちて鈍い再生音と化してしまいます。 22ゆずりのトーンコントロール機能を持ちながら、22とは似ても似つかないほど音楽成分をザルのごとく落としても平気な顔をしています。 これもSP3同様、電気臭い再生音で、歪成分を味方にすることのない性格が見えてきています。 つまり、大きい音で聴くより、BGM的に垂れ流す再生しかできないもので、このころから英国オーディオの凋落が始まったと私は思っています。
こうしたことはヴィンテージ時代の英国製コントロールアンプでは起こりえない現象です。 SP3やQUAD33/44が取ってつけたようなトーンコントロール機能しか持ち合わせないのは時代性によるところが大きいのでしょう。 メーカもユーザもトーンコントロールが持つ音の可変によるハーモニクスの発動より、ダイレクトな音を求めていた時代でした。 ロック全盛の時代です。 ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンはたまたビートルズの電気加工された声、あの独特の歪っぽさを再生するにはトーンコントロールもへったくれもなく、ただただレコードの忠実再生を目指したのです。 しかし忠実に再生するといっても、当時のレコードはすでに位相から周波数特性からすべていぢられまくっていたのです。
SP3やQUAD33と同じトーンコントロールによる音質劣化現象が我が国のプリアンプ・プリメインでも起こります。 トーンコントロールを使用すると音からダイレクト感や鮮度が失われる、失われないアンプもありますが今度はトーンコントロールが効かないというていたらく。 誰も期限切れの音を聴きたいとは思いません。 こうした時代の洗礼を受けた若きオーディオマニアたちの多くは、以降トーンコントロールを通すと音が劣化すると思い込むようになっていきます。 つづく 
以上T氏

参照ページ
トーンコントロールのこと
トーンコントロールのこと 2
トーンコントロールのこと 3
トーンコントロールのこと 4




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