2014年08月05日

トーンコントロールのこと 9

イクォライザ・セレクタとトーンコントロールによるハーモニクスの妙
本格的なオーディオ時代の幕開けがステレオ時代から始まった我が国では、録音特性イクォライザの存在など闇に葬り去られていました。 実はステレオ時代に入っても、海外盤やそれと提携した国内盤のなかにはRIAA表示されていても実際には違う録音特性であることはしばしばありました。 今となっては周知のじじつですが、そうしたウソは商品表示法違反にひっかかることがありませんでした。 60年代からLP製造終了まで、我が国のオーディオメーカはすべて録音特性を無視したアンプを製造し続けました。 海外にはMARANTZ・McINTOSH・QUAD・LEAKなどのステレオプリアンプには少ないながらもイクォライザ・セレクタが回路に組み込まれていました、にもかかわらず、我が国のステレオアンプにイクォライザ・スイッチが付いたアンプを私は見たことも聞いたこともありません。 
LPレコードを今でも聴いている愛好家の中で、オリジナル盤や初期盤を楽しむ方の割合は総人口の減少とともに増え続けています。 収集しているレコードを再生するには、それぞれのレコードにイクォライザを適合させることの重要性を認識する音楽愛好家が増え続けているのです。 これが私には不思議でならない。 現在は明確な真実として認知されていること(数ある録音特性)が、何故LP全盛当時にユーザは何も知らされていなかったのか?
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我国でオーディオが一般に普及し活況を呈したのは、1960年代後半からの10年間ほどでした。 そのころオーディオに熱中していた方々の中で、どれだけの人がレコードの録音特性に注意を払っていたでしょうか、おそらく皆無でしょう。 私にしたところで、ジャケットの裏面にRIAAと記されていても、それが何を意味するのかさっぱりわからなかったというのが実のところで、それよりもRIAA以外の表示があることさえも知りませんでした。 購入できたレコードがほぼ100%国内盤だったので、当然といえば当然で、録音特性よりもキズひとつないピカピカのレコードが入手できることに快感さえおぼえていました。 録音特性よりもノイマンやウェストレックス社製カッティングマシンの優秀性ばかりが喧伝されていた、今思えばおかしなことに注意をそらされていたのです。 ノイマン社製カッティングマシンで刻まれた音は本当に良かったのか、ここでは触れても仕方ありません。 特に50年代モノーラル録音のクラシックの名演の多くはこの時代にリカッティングされましたが、我国のレコード会社の技術はお粗末で、RIAAどころの問題ではないほどに周波数特性がいじられてカッティングされており、今改めてオリジナル盤で同じ演奏を聴くと、これが同じ演奏か!と思うほどに裏切られていたのです。 フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、シューリヒト、モントゥー、ミルシテイン、ヘブラー、ハスキル、グリュミオー、こうしたいわゆる名演奏家の音楽をちゃんと聴きとることができなかった。 こんな嫌な思いをするたびに、『鎖国』という単語が浮かぶのです。 MARANTZ・McINTOSH・QUAD・TANNOYといった欧米の品々は出島に入った舶来品に見えてくるのです。 
今日、オーディオ鎖国は無くなったのといえるのでしょうか。 残念ながら、変わらない。 これだけヴィンテージを再生する愛好家がLPレコードの市場に増えてきているのに、肝心の録音特性対応の本格プリアンプリファイアが出現しないのです。 高額なプリアンプでもトーンコントロールがないというのは、とりあえずLPは最近の復刻重量盤のふやけた音でも聴いておきなさい、ということなのでしょうか。  つづく
以上T氏


参照ページ
トーンコントロールのこと
トーンコントロールのこと 2
トーンコントロールのこと 3
トーンコントロールのこと 4





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