2014年08月14日

トーンコントロールのこと 12

モノーラル再生とステレオ再生でのイクォライゼイションのはたらき方の違い

ヴィンテージ時代に製造されたモノーラルシステムとステレオ専用システム両方持っていると、イクォライゼイションの力の及び方が異なっているのを意識されるユーザも多いでしょう。 それはモノーラル再生とステレオ再生時では音の時間軸の設定がまるで異なるからです。 たとえばモノーラル再生時、スピーカから一本の線をリスニングポジションまで引き、線上の上下左右に音が存在すると仮定してみましょう。 この時、音の時間軸上にある位置は安定しています。 他からの音の混入がなく、独自性を保てるからです。 こうしたモノーラル再生の特長である単純性により、イコライザ・ポジションのすばやく適格な選択が可能になります。 

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ステレオ再生となるとことは違ってきます。 つまり2台のスピーカによる空間合成という必然に起因しているのです。 左右どちらのスピーカもお互いにお互いの干渉を受けています。 ステレオとは二台のスピーカによる相互干渉とみなすこともできます。 ことはモノーラル再生のように単純ではないので、通常のリスニングポイントではイクォライザの選択はきわめて難しい判断になります。 左右両チャンネルの周波数特性が一致していれば、という前提では実際に話ができないからです。 左右両チャンネルのカートリッヂ、プリアンプ・メインアンプ・スピーカの周波数特性は通常の場合予想以上にバラついていますので、スピーカとリスニングポイントを結んだ線上で音の時間軸上の位置は両チャンネルで異なります。 これはモノーラルのように整った形ではあり得るはずもなく、しかもお互いに干渉し合うのですから音は偶発的に位置どらされることになります。 2つのスピーカの真ん中に定位しているといっても、それは無理やり両チャンネルの帳尻を合わせているにすぎないか、思い込んでしまうか、いずれにしてもあまり音楽そのものにはかかわらないところで、ほとんどのユーザの努力が注ぎ込まれてしまっているように思えます。 ヴィンテージの再生装置にとっては、レーザ光線による位置決めなど極めてナンセンスです。 ステレオではそれぞれの音が勝手に存在させられるだけで、音の座標上の位置を確保するにとどまり、モノーラルのように連続した時間の音像を形作ることはできません。 いくつかの花火が爆発するようなもので、良し悪しは別にしてステレオは一種の目くらましなのです。 ステレオ再生は多くのリスナを幻惑してきました。 リスナはこの花火に弱いのです。 音を映像としてとらえてしまうからで、こうしたステレオサウンドの楽しみ方は花火見物に近いものです。 映像が先で、音(音楽)が後に来るのですから。 視力に頼るステレオの楽しみ方が大勢を占めていたためにに、今日に至るまでイクォライザのことなど無視できたのであり、たとえイクォライザというものがあることを判っていても積極的に使われることはありませんでした。 なぜならイクォライザにより一層旨みを増す再生音の違いは、視覚的な聴き方ではわかるものではありません。 音楽を聴こうとしてはじめて感じるものだからです。 今日、初期盤の存在が当たり前になり、イクォライゼイションの存在がごく普通に取り沙汰されるようになったのは、オーディオが一歩前進し、次のステップに移りつつあることを意味しています。 喜ばしいことです。 つづく
以上T氏

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トーンコントロールのこと
トーンコントロールのこと 2
トーンコントロールのこと 3
トーンコントロールのこと 4


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