2014年08月20日

トーンコントロールのこと 15

ストレートプリアンプと可変コントロールアンプ

リニアオーディオが台頭するようになった70年代、プリアンプは原則カートリッヂからの信号を素直に流しパワーアンプで増幅するというスタイルをとるようになります。 この流れで重要なポジションはカートリッヂとパワーアンプの出力とダンピングファクタでした。 こうした信号のストレート化は、水道の蛇口を全開にしてジャージャー流すようなものであり、どうしても音量のコントロールが難しくなります。 プリアンプ入力部のオーバーゲインにより再生音がハレーションを起こしたり、パワーアンプのばかばかしいほど強大なパワーと大きなダンピングファクタによりスピーカを過剰に制動して音楽とは程遠い音質で鳴り始めたとしても、運が無く相性が悪かっただけと他の機器に買い替えるしか対処方はありませんでした。 ミスマッチをオーディオ機器を交換することにより整合させる、ユーザはそのための代金を払いなさいというのが、当時のシステムコンポーネントの思想であり、その上にオーディオ全盛という神輿が躍っていたにすぎないのです。 事実このシステムが成り立っていた時代のオーディオ製品はどんどん音楽から遠ざかって行きました。 

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前述のストレート化されたプリアンプに話を戻します。 あれは、フォノイコライザ付のラインアンプだったのです。 ですからトーンコントロールが付いていても、ほとんど役目を果たすことはありませんでした。 もともと電気信号はストレートに障害なく通すのがベスト、という根本思想で設計されたプリアンプですから、トーンコントロールは信号のストレートな流れを阻む厄介者であり、すべからずパスして使おうというのが、設計者のホンネだったのでしょう。
こうしたストレートプリアンプに対しヴィンテージ時代に製作されたさまざまな可変部を備えたプリアンプ群を、ここでは仮に可変コントロールアンプと呼ぶことにします。 入力信号をあらゆる可変要素を駆使して音楽的な信号にしていくはたらきを備えているからです。 レコードに刻まれた信号を暗号体とみなし、読み取り、メインアンプの反応力を十分引き出せるような信号に可変して送り込むのが可変コントロールアンプの役目です。 ここに書いた可変というはたらき、文章の朗読に置き換えてみるとわかりやすいかと思います。 朗読であれば、行を改めたときのちょっとした間合い、句読点を「。」を「、」や「?」にすることもできます。 そうすることで文章そのもののニュアンスや印象が変わってくるのです。 ですからレコードの見かけ上の文章・文体の解釈としての再生は、ユーザの感覚と裁量にゆだねられていることになります。 ストレートアンプではこういう芸当はできません。 せいぜい蛇のように太いコードを部屋の中で這わせるぐらいのことです。 つづく
以上T氏

参照ページ
トーンコントロールのこと
トーンコントロールのこと 2
トーンコントロールのこと 3
トーンコントロールのこと 4


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