2015年07月02日
SHURE M44-7 初期型
SHURE M44-7による再生創造力の素晴らしさをずいぶんと書いてきました。 結果このカートリッヂはヴィンテージオーディオの分野で正当な評価を多くのユーザから得られるようになりました。 それはそれでうれしいのですが、問い合わせが増えました。 初期モデルが現行品より優れているのかどうか、です。 ただ古いから良いという安易なモノサシはヴィンテージオーディオにおいては最も避けなければならないこと。 モノの良し悪しは古いというだけでは決められません。 私が実際に音を聴いて感じたことを書きます。
M44-7初期モデルの出力はどのような響きをもって音楽再生を果たしているのでしょう。 まず、現行モデルと較べると音の伸縮性がフレキシブルではないことが挙げられます。
再生音全体で音が密集する状態に聴こえてしまいます。 おかげで、中低音域はしっかりして厚みがあり堂々とした再生音です。 見方を変えれば少々カートリッヂ自体の圧縮比が高過ぎるきらいがあるとも言えます。 現行モデルのような音と音の間に風が吹き抜けていく爽快さは得にくい。 そのくせ最低音域では小股の切れ上がった、スカッとする鳴り方に魅せられもします。
結果的にこうした初期モデルの音作りはジャズ再生では現行モデルのフラット感とは異なり、ドラマを帯びた音を展開することになります。 クラシック再生では少々問題が無いわけではありません。 というのは初期モデルの音は常に主役を立てるという音作りがされていて、クラシック再生で重要なそれぞれの音の均等性が得にくくなります。 ちょうどブロードウェイ・ミュージカル感覚を思い起こさせます。 主役がいつもクローズアップされるあの感じです。 しかし、これは短所のようでもあり、大きな長所でもあります。 ことにオリジナル盤再生においては。
初期モデルの本質は、プログラムソース及びオーディオ機器に対する追従性が薄いことにあります。 つまり、米国人が求める音楽再生からは逸脱してはいないのです。 M44-7が今日ワールドスタンダードの格調を得るまでには長い時間を必要としたのが初期モデルを聴いて理解できます。 したがって、10年前、20年前のM44-7は当然ながら異なる音の性格を持っていたことになります。 それゆえにマニアは各年代のM44-7を揃え楽しむことも可能なのです。
さらに初期モデルの音には、或る隠し味がしこまれています。 それは残響の消え方がオルトフォンSPU初期型と酷似していることです。 それは主音(音の姿、かたち)を聴き手にはっきりと認識させてから、やや離れたところに響きを置くという手法であり、ソリッドな低音にやや甘めな残響を加えるという空間的な拡がりと消え方はオルトフォンの手法と共通しているところがあります。 これが偶然の産物ではなく、SHURE社が意図的にしたことであるなら、ずいぶんと手の込んだイタズラをしたものです。
以上T氏
Dear Melomane,
Our place is located in a small town by the Pacific ocean.
Full of interesting scenery,foods and people.
Near Narita airport
Why not visiting us and listening to music together ?
greythorens@kind.ocn.ne.jp
M44-7初期モデルの出力はどのような響きをもって音楽再生を果たしているのでしょう。 まず、現行モデルと較べると音の伸縮性がフレキシブルではないことが挙げられます。

結果的にこうした初期モデルの音作りはジャズ再生では現行モデルのフラット感とは異なり、ドラマを帯びた音を展開することになります。 クラシック再生では少々問題が無いわけではありません。 というのは初期モデルの音は常に主役を立てるという音作りがされていて、クラシック再生で重要なそれぞれの音の均等性が得にくくなります。 ちょうどブロードウェイ・ミュージカル感覚を思い起こさせます。 主役がいつもクローズアップされるあの感じです。 しかし、これは短所のようでもあり、大きな長所でもあります。 ことにオリジナル盤再生においては。
初期モデルの本質は、プログラムソース及びオーディオ機器に対する追従性が薄いことにあります。 つまり、米国人が求める音楽再生からは逸脱してはいないのです。 M44-7が今日ワールドスタンダードの格調を得るまでには長い時間を必要としたのが初期モデルを聴いて理解できます。 したがって、10年前、20年前のM44-7は当然ながら異なる音の性格を持っていたことになります。 それゆえにマニアは各年代のM44-7を揃え楽しむことも可能なのです。
さらに初期モデルの音には、或る隠し味がしこまれています。 それは残響の消え方がオルトフォンSPU初期型と酷似していることです。 それは主音(音の姿、かたち)を聴き手にはっきりと認識させてから、やや離れたところに響きを置くという手法であり、ソリッドな低音にやや甘めな残響を加えるという空間的な拡がりと消え方はオルトフォンの手法と共通しているところがあります。 これが偶然の産物ではなく、SHURE社が意図的にしたことであるなら、ずいぶんと手の込んだイタズラをしたものです。
以上T氏
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