2016年07月31日

小型PARMECO用スタンド製作とアクセサリ類から見えること 10

ステレオ再生のワナ

ステレオレコードおよびステレオ再生装置の開発の中で、ステレオの前途を危惧する人たちが当時の技術者の中にはおりました。 この方式が進化し続けると、やがて明確な定位という概念が台頭する、その代償として音楽を楽しまずに音に意識を持っていかれるのではないか。 ステレオが登場して以来、オーディオマニアと呼ばれる人種は、多くの時間を費やして音楽を聴かずに、両方のスピーカからそれぞれの音が出ているのを心気を凝らして聴いていました。 次にアンプのバランスとトーンコントロールをセンタの位置に固定しヴォーカルやソロが真ん中から聞こえてくるか、その次にそれぞれの楽器の明瞭な定位への思い込み、スピーカユニットの製造番号を揃えるという風に。 行き着くところがプロ仕様とか業務用製品を狭い部屋に運び込んだのです。 こういうことをし続けると、音楽そのものを聴こうとする感覚は少しずつ退化していきます。 それはいかにステレオ方式やステレオレコードが開発されていったかというプロセスがユーザに適切に伝わらなかったせいだと考えます。 本来であれば開発から完成に至るまでさまざまな実験を行い、ノウハウは蓄積されていきます。 ステレオ再生の欠点が露呈すれば、さらに改良する方法を探る。 そうしたプロセスにおけるノウハウは欧米では蓄積されましたが、我国ではそこがすっぽり抜け落ちて、結果としてのステレオ方式を与えられたにすぎません。
電蓄やラヂオからステレオに移行するハイファイのムーヴメントは、聴き手に視覚化を誘導してきた流れであり、周波数レインジの拡大の結果としての音のコアの希薄化でもありました。 音楽にあるイマジネイションは遠ざかっていきます。 
現在ではスピーカ位置や聴取位置をレーザ光線で測定したり、ニアフィールドという聴き方も出てきました。 EPSON007レーザによるスピーカやリスナの位置決定は、2つのスピーカの指向特性の不確定さや反射環境の曖昧さ(ダイナミクスの強弱や周波数により変化する)、何よりカートリッヂのL・Rチャネルのバラつきなど現実に出現する多くの物質的バラつきや肉体的バラつき(左右の耳の聴取能力の違い、あるいは個人差)などを考慮すると、どういう意味があるのか理解に苦しみますし、聴取位置を決められるとストレスという余計な問題も出てきます。 スピーカの位置決めこそ感性が求められるはずです。 スピーカの位置ひとつ自分の耳で聴いて判らないようでは、オーディオをやめて別の趣味を持つことをお勧めします。 ニアフィールドに関しては、言葉がありません。 大体我国のリスニングルーム自体、すでにニアフィールドです。 つづく
以上T氏


トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔