2016年07月30日

小型PARMECO用スタンド製作とアクセサリ類から見えること 9

ステレオ再生の欠点

ステレオ再生に起こる相互干渉には問題もあります。 電気臭い歪みです。 ステレオそのものが左右二台の電気信号により動作するスピーカによる相互干渉ですから、当然起こり得ることです。 皮肉なことにステレオ効果をより向上させようとしてチャンネルセパレイションを高めるほど発生しやすいから厄介です。 判りやすく言えば、高価なシステムほどステレオ特有の電気臭い音を発生します。 英国人がステレオを安物扱いしたのは、この電気臭い音に辟易したためではないか、ビートルズのLPにしてもあれほど電気臭い歪み成分をミキシングしてにカッティングしたのも、トランジスタラジオやカセットでメリハリを持たせ聴きやすくするだけではなく、ステレオ再生装置にある電気的歪みを逆手にとってハイファイサウンドに仕上げたのでは、と勘繰りたくもなります。

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この現象が位相のズレによって生じたと勘違いするオーディオマニアは、あれこれスピーカやアンプをいぢりまわして改善しようとしますが、詰まるところ自分を納得させるための行為にすぎません。 しかし、改善することは可能です。 その方法はシンプルに電気信号の道筋を整えることから始まります。 まずレコードプレイヤの調整です。 ユニバーサル型アームにカートリッヂを取り付けるときのコネクタネジの締め具合、オーバーハング、ラテラルバランス、アンチスケイティング、針圧、アームの高さ、これらはすべて再生に於ける歪み成分に関わっています。 というより再生音そのものと考えた方が良いでしょう。 ステレオの位相などというものはカートリッヂの据わり具合でコロコロ変わってしまいます。 フォノモータの能力も大切です。 ここでいう能力とは単に機会としての性能ではなく、音楽を創造する力を指します。 音楽信号に飢えた虎のようにガッチリと喰らいつき、音楽を有機的に響かせる力のことです。 ズバリ言えば、やる気の無いフォノモータはダメです。 オザナリに動いているフォノモータからはオザナリの音しか出ません。 グレイでTD124エンポリウム仕様やMk.2、それにConnoisser社製を好ましく扱うのはこの力を持っているからです。
さらに、相互干渉による電気的歪みをほとんどなくす方法があります。 ユーザにとって耳の訓練なくしてなかなか難しいのですが、左右のメインアンプのフィードバック(PositiveあるいはNegative)を調整して相互干渉による乱れをなくすことです。 相当に難しい調整ですが、上手くいけば恐ろしいまでの音楽的再生が可能になります。 ただし、この調整はほんのわずかなフィードバックの調整ですので、誰にもできることではありません。 
ステレオ相互干渉の問題点を書いてきて感じるのは、音楽再生としてのモノーラル再生の優位性です。 モノーラル再生がステレオよりも聴き疲れしないのは、相互干渉による電気臭さと無縁であるのも一因でしょう。 モノーラルは左右を分けていない完全信号であり、一つのスピーカで再生するので他と交わることなく独立した再生音です。 その純粋さが音をすっきりと自然なものとして提示してくれる。 これは多くのユーザが認め始めている事実であり、モノーラル初期盤に接する機会が増えた結果、昔のモノーラル日本盤の劣悪な音質への偏見を改め、逆にステレオ盤よりもモノーラルの初期盤をもとめる音楽愛好家が着実に増えているのはうれしい限りです。 モノーラル再生はステレオのような科学的なものではなく、芸術としての創作に近いものがあるので、好ましく思います。 つづく
以上T氏




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