2016年08月02日

小型PARMECO用スタンド製作とアクセサリ類から見えること 11

スピーカのステレオセッティング

ステレオ再生は左右からの音の相互干渉で成り立っていると書いてきました。 この相互干渉から派生する音の回り込みがステレオ立体音響を創出するに、如何に重要であるかは様々な実験と経験によって知覚しています。それでは具体的にどうしたらステレオ再生に適するスピーカセッティングが可能になるのでしょう。 まず、左右のスピーカのあいだ、つまり相互干渉地帯に何も置いてはいけません。 なぜならここで立体音場の基本要素が構築されるからです。 オーディオマニアのリスニングルームを見ると、この場所に棚やラックを置いてアンプを詰め込んでいるのを良く見かけます。 あれでは立体音響は生まれることはありません。 電蓄のやり方だからです。 この設置方法をもってステレオ定位とか立体音像を語るのはナンセンスです。 それならステレオ・デコラはどうなんだ、と浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。 良く、考えてみてください。 ステレオ・デコラは一体型です。 英デッカ社の技術者たちが入念に設計し、試聴テストを繰り返した結果のプロの音響技術者集団がこしらえた品です。 ステレオを創出したノウハウを持っていない技術者ではそうそう作り出せる品ではないのです。 デコラそのものはステレオ的というよりステレオ的な音場を空中に拡張して響かせるように志向した品であり、そのためにスピーカユニットはそれぞれが異なる角度で取り付けられているのです。 デコラではない通常の再生装置を使用してのステレオ再生には、スピーカの間に何も置かないことです。
次にセッティングで重要な要素は音の回り込みです。 ここでは圧縮効果が大きな意味を持ちます。 圧縮効果の発生は床および壁との間隔により異なります。  狭ければ圧縮は大きく、広ければ圧縮は緩和されます。 この現象で注意したいのは拡張は関係しない、ということです。 圧縮と拡張が共存するのは電気が通っている箇所であり、スピーカの外に放出された音には圧縮があるだけです。 ここで見るべきはアンプリファイアのパワです。 良質な信号を理解しえないハイパワーアンプは強力な圧力によりステレオ音場における圧縮効果をさらに強大にします。 結果エアコンのコンプレッサに似た動作音を巻き起こし、電気的かつ暴力的な低音を発生させます。 それをスゴイ低音などと聴き取ってしまってはいけません。 そういう音が聞きたいならば、エレキベース用のスピーカで事足ります。 電気的かつ暴力的な音はクラシック音楽とは正反対の位置にあります。 ハイファイ以前の問題です。 
ヴィンテージオーディオの世界では、スピーカに不釣り合いなパワーアンプリファイアをつなぐのは問題です。 スピーカの音をパワーで潰してダイナシにしてしまいます。 例えば英国製スピーカには、定格入力、最大入力、音圧レベルなどの規格ではなく、MAX POWER CAPACITY 15W もしくは HANDLING CAPACITY 10W と表示されることが多い。 そこに示された値が、スピーカを最も効果的に音楽を奏でることができるWATT数なのです。 これまでは30Wより60Wの方が良いと考えてしまいがちですが、ヴィンテージオーディオでは10WATTそこそこのアンプリファイアが一番使いやすいということをおぼえておいてほしいのです。 RIMG0749これは自動車のエンジンとガソリンの関係に似ています。 エンジンはパワーを要するときにはより多量のガソリンを要求します。 ただし、最高のパフォーマンスを得るには多量と言っても、多ければ多いほど良いというわけではありません。 過剰にガソリンを供給すると、エンジンはカブッてしまいパワーは増すどころか低下してしまいます。 これと同じことがパワーアンプとヴィンテージスピーカの間で起こるのです。 これはスピーカのセッティング以前の問題ですが、実際にアンプをつないで再生する段になって気が付くことが往々にしてあり、購入してから後悔しないために書き添えておきます。
実際リスニングルームでのスピーカのセッティングは、一般に部屋そのものの容積が小さい場合が多く、リスナーの聴取位置はどうしても限定されてしまうことが多いのです。 スピーカはそれに合わせてセッティングするしかありません。 それは欧米のように空中に音を拡散させる再生方法は不可能です。 どうしてもスピーカに向き合って聴くことになります。 同じブックシェルフ型スピーカであってもフルレインジと2ウェイ・3ウエイそれと同軸型等システムの使用によってセッティングの高さは変わってきます。 床から何十センチ離せばよいという決まりはありません。 高さはあくまでリスナーの感性で決めたらよいことですが、セッティングにおいては優先順位があります。 それは左右スピーカ間の距離です。 つづく
以上T 氏





トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔