2016年09月15日
英 iFi社製 ステレオプリメインアンプ retro50 その8
今回はC3(Wharfedale Super 8 ) を試聴します。 ユニットは20cm径ダブルコーン型、これまで聴いたスピーカのように豪壮な音は出てこないが、ホームユースとして使用するならば十分なちからを発揮してくれます。 25畳くらいのリスニングルームであってもゆったりとした再生が果たされます。 このスピーカはそういう力を確かに持っているのです。
GOODSELLで聴くとアンプの持つトルクが大きいせいかユニットを縛り気味に駆動して、少し窮屈な音になってしまいます。 retro50 に接続すると伸びやかで清楚な音で鳴り始めます、が、問題は中高域の張り出しが強いことです。 ヴァイオリンが刺激的に鳴り耳にきつく感じます。 GOODSELLでもこの現象が少し見られますが、retro50のようにキツイものではなく、もっとおだやかです。 この差はアンプのスピーカに対するはたらき方での製作者の思想の違いからくると思われます。 ヴィンテージ時代のアンプリファイアは低音域と高音域の伸びに関しては、接続するスピーカの持つ自在力にまかせています。 それを可能にしたのはひとえにこの時代のスピーカがきわめて優秀だったからです。 つまりGOODSELLのアンプはスピーカを信頼しているのです。 アンプそのものが持つ周波数特性が1Hzから20kHzを超え100kHzまでカヴァしたとしてもそれはあくまでアンプのキャパシティであり、実際に使われる帯域はせいぜい40Hz-16kHzくらいでしょう。 ですからこの帯域を充実させて、それを超える帯域はスピーカに応じて出すようにコントロールします。 出せるということと、出すということは意味が違います。 これはもう一つのハイフィデリティ(人間の生理的感覚に即した)思想によるものです。
リークのアンプにオマージュを寄せていてもretro50 は現代のアンプでもあります。 実際には現代のブックシェルフ型あるいはモニタ用スピーカも鳴らすことも考慮されているはずです。 これらは再生周波数帯域がSuper8 より広帯域であり、反応力よりも情報量で動くタイプのスピーカです。 retro50 に接続すれば高域は素直に伸びて結果として良好な再生が可能になるでしょう、しかし、Super8 では同じような信号を入れられると無理な高域を出すことになり歪みが発生してキツイ音になってしまうことになります。 このキツイ音の原因はretro50 だけが原因ではないのです。 今回の試聴に使用したA1のDECCA ffssは中高域が割合はっきり物言うタイプなので、それもキツイ音の原因になったことも考慮しなければなりません。 後日A4(TD184)のプレイヤに70年代のAKGカートリッヂを取り付けて試聴してみると高域のキツサはかなり改善されました。 つづく
以上T氏