2016年09月25日

英 iFi社製 ステレオプリメインアンプ retro50 その14

今回から使用するA3(TD124Mk.2+M44-7)のフォノモータは大変完成度が高い90,000番台のTD124Mk.2であり、その再生する音は分解しつつ構築するという離れ業をやってのける稀有な製品です。 これでレコード聴くと私にはどのような音で成り立っているのか瞬時に知ることができ、それが音楽に変化するさまを確認できるのです。 つまり音楽の生成のプロセスを時間の流れに沿って味わえる。 こうした特徴をもつ切れ者のTD124をこれから異なるアンプリファイアとスピーカを試聴していきます。
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A3とC1の組み合わせを聴いてまず感じたのは、これまでのA1とA2のプレイヤとは傾向が異なる音になったことです。 音場の広がりようは前の2台のプレイヤよりずっと広がります。チャンネルセパレイションも向上しています。 前のA1とA2が音を凝縮するタイプのプレイヤであるためにこうした感覚が生じました。 一方ステレオ音場が広がったことでretro50 のSN比とノイズに対する反応力は変化します。 GOODSELLのそれに比べてSN比が少し落ちノイズ量が増えたように聞こえてしまいます。 A1とA2では感じなかった現象がなぜA3では起きたのでしょう。 それは音の凝縮力のせいだと考えます。 A1とA2のように音の密度が高めであると、音と音の間の隙間があまり無いために私たちが感じるいわゆるノイズ成分は音の外側に在ると判断されますし、そのうえエコーや残響と結びつくことで自然なものとして知覚されます。 それに対しA3のMk.2は音楽を形作る音が動くタイプですから、音楽という枠組みの中で活発に移動するときには、あまり動いてはいけない基音さえ揺らいでいるように感じます。 こうした状態のもとでは音と音の間に隙間が生じやすく、そこにノイズ成分が流れ込むとSN比低下とノイズ増加として意識されます。 こうした現象はフォルテッシモが頂点に達した後の静寂が訪れたときに起こりがちです。 これは相当な高次元で発生することであり、その原因にはアームとスピーカにもあります。 このMk.2 に英acos Hi-Light stereophonic アームを取り付けて試聴するとこの現象は何故か消えてしまったりするのです。 

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またC1のスピーカは大型で拡張力が強く、Mk.2の拡張力が大きいという能力と重なってしまうのも一因と言えます。
音色の表出の面では子としての存在感と魅力はGOODSELLが数段優っています。 retro50 ではGOODSELLのようにくっきりと音色を出せず全体としての音楽の構成に必要な音色を提供するにとどまっています。 しかしretro50 は暴走することも音色過多に陥ることもなく明快に音楽をさばいていきます。 ダイナミックレインジではやはりGOODSELLが優るのは当然です。 C1のような大型スピーカをドライヴするのはGOODSELLが得意とするところでもあります。 時には音色が濃すぎるほどの再生になってしまいますが、そういう時はスピーカの間隔を5m くらいまで離してやるとしっくり再生できます。 それはそれで良質なヴィンテージアンプリファイアしかできない再生方法です。 retro50 とは仕掛けが違いますし、このアンプではその間隔では中抜けをおこしてしまうでしょう。
リズム感となるとGOODSELL ははきはきと音の底までさらうように再生をします。 retro50 はもっとおっとりした鳴り方です。 この差はアンプリファイアの制動力によるところが大きく現われています。  つづく
以上T氏

retro stereo50  プリメインアンプの詳細は下記HPをご参照ください
retro stereo 50 HP
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