2016年10月10日

英 iFi社製 ステレオプリメインアンプ retro50 その18

RIMG0909

今回の試聴で最後に登場するプレイヤA5(Connoisseur Craftsman-3) は一応アイドラドライヴ形式をとっていますが、通常のそれの動作やはたらきとは一線を画す独創的な機構であります。 回転体に関するアイデアが斬新かつ革新的です。 このプレイヤから生み出される音楽創造力を感じ取れる方ならば、現代流通しているアナログプレイヤが如何に安易なアイデアで製作されたものであるか、まざまざと知ることでしょう。 商品としての立派な外観や音楽に即さない理論は無駄のカタマリです。 A5のトーンアームは英Worden社製Articulated pick-up (1960) を取り付けてあります。 RIMG0896ピアノ製造会社により薄くくりぬかれた木製のアームとシェルにより自然な響きが心地よく再生される、質量分離型トーンアームです。 RIMG0900シェルはアームの内周への動きと連動して最適なトラッキング角度を保つ機構がウリで、デリケイトなベアリングによりスムーズな動作が得られます。 しかし、半世紀以上経った今となっては念入りなレストア作業を施していなければ、発売時と同等な動作感度は得られるべくも無いのはご存じのとおりです。

EPSON001

(以下の文章には『ナチュラル・ディストーション』というT氏の造語が頻繁に出てくるが、これについてはT氏が後で詳しく説明するとのこと。)

C 1 と組み合わせた音には面喰うところがあります。 ナチュラル・ディストーションの発生の有り様がこれまでの聴いてきたプレイヤとは全く違うのです。 通常プレイヤは音楽の始まりから終わりまでひとつのストーリを描き、そのうえで最適かつ効果的にナチュラル・ディストーション を発生させます。 例えばオーケストラがフォルテの直前に小規模なナチュラル・ディストーションを発生させて、それがフォルテによって拡大され解放される。 これが一連の流れとしてのナチュラル・ディストーションが創り出される過程です。 そこに至るまでの比較的音数の少ないハーモニクスのからみが頻繁にない場合は来るべきナチュラル・ディストーション大発生の予兆として位置づけられます。 このようにして聴き手は響き方の流れや動きを通して音楽に内包するストーリ性を感じ取り、必然性を予感したりもします。 ですから人々はクラシック音楽での響きを自然造形物のように受け止めることができるのです。
これに対してConnoisseur Craftsman靴蓮音のフレーズのひとつひとつを音楽にしてそこにナチュラル・ディストーションを発生させようとします。 ですから、通常のプレイヤと違って響きの流れからストーリを予兆することがしにくいのです。 ですからいきなり大規模なナチュラル・ディストーションが出現して、音楽の驚きや発見を聴き手にもたらしてくれます。 このフォノモータをつぶさに聴いていると、徹底した現実主義のアイデアの元に設計されているのが見えてきます。 今鳴っている音、それ自体が音楽であり、そこには過去も未来もなく、今があるだけなのです。 反面こうした再生のありかたですと、ピアニシモからフォルテに至る音量の比率が大きく増えるという形が取りにくいために、ダイナミックレインジの増減の差を少なく感じてしまうことがあります。 どこか地に足がつかない宙に浮いている感じです。 これを長所ととるか短所と見なすかは聴き手の音楽観とサンスにより評価がわかれるところです。 つづく
以上T氏

エヴァ・ペドラッツィ バッハ 無伴奏チェロ組曲全曲 (録音1973年 1996年初出) の入札は盛会のうちに締め切らせていただきました。
次週は エヴァ・ペドラッツィとエディス・ヴァイスブロートによるシューベルト アルペジオーネソナタのLPをご紹介する予定です。 お楽しみに





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