2016年10月11日

英 iFi社製 ステレオプリメインアンプ retro50 その19

つまり、通常のプレイヤを50年代東映時代劇の勧善懲悪と予定調和のハッピーエンドに例えてみれば、Craftsman は片隅にある悲しみがとぎれとぎれに描かれて『終』の文字がスクリーンに、この後どうなるだろうかと尾を引きながら暗い家路を急ぐ気分の松竹映画のようなものかもしれません。
こうしたキャラクタのCraftsman をGOODSELLは今音楽が生まれ出ている感を意識させてくれます。 リアリティとは音色で創り出されるもの、という明確な主張が音に込められています。 あまりにリアリティが鮮明に出てくるために、時として音楽より音色に耳が動かされてしまうきらいもあります。 これは短所というより長所といえるくらいに美しいのです。 こうした大型フロアスピーカからフルレインジ・ユニットのようなキッチリとした音が出てくるのは滅多にないことですから。
これがretro50 に繋ぐと倍音成分の再生にこころを砕いているのが聴こえています。 アタックを少し緩め、柔らかく音を響かせています。 そのためか各フレーズの段差が減り音楽がスムーズに進行します。 フォルテの表現力に凝縮力がはたらいて音楽が落ち着いている印象を受けます。
Crafusman の音色とダイナミクスを味わうにはGOODSELL、音楽をそれらしい形にして楽しむにはretro50 というところでしょうか。

次にC2(SFB3) とA5(Craftsman掘 をGOODSELLにつなぐと、麻薬性の音色で彩ってくれます。 これは人間をダメにする類いの音です。 この世界にすっぽりハマるともはや他の装置では味が薄く、音楽のエッセンスが感じられないようになるから危ないのです。 RIMG0915響きそのものには渋さを持っていて、決して派手な音では無いのです。 ジャズはもはや英国テイストであり、女性ヴォーカルは米語ではなく、英語、になっています。 つまり、始まりは普通の音として感受されるけれど、それゆえに毒のまわりに気が付かないうちに、それは進行していくのです。 要注意の音です。
一方retro50 では、活発にC2を鳴らします。 そのため属性は希まっており、ジャズヴォーカルは米国アクセントで聞こえています。 C2にしては案外キビキビ鳴っていて安心して音楽浸れますし、再生音のあちこちで発生するナチュラル・ディストーションが音楽を平凡に落とさないようにはたらくから立派です。 SFB3は同時代の英国製高級アンプリファイアで英国風に鳴らすと最大限に反応するのでしかるべき音は容易に出て当然なのですが、現行の製品でこれくらい美しく鳴らすアンプリファイアはそう滅多にない(というより皆無)でしょう。 つづく 
以上T氏





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