2016年11月06日

英 iFi社 retro50 番外編 ナチュラルディストーション 6

再生装置とナチュラル・ディストーション 2

ナチュラル・ディストーションを再生するにあたりスピーカの選択基準は何より音色がうつくしく出る品が最良のものです。 なぜならナチュラル・ディストーションがたっぷりと刻まれた良質なレコードをトランスクリプション能力を備えたプレイヤにのせ、録音特性セレクタとトーンコントロールを備えたコントロールアンプにそれ対をなすアンプと接続すれば、音楽は自然にフォルテでは大きくなるようピアノでは小さくなるように聞こえてきますし、音色は滑らかにうつろうように鳴り始めるはずです。 「ナクソス島のアリアドネ」のような作品などは特に、ナチュラル・ディストーションがはたらいてくれれば音楽は一層面白く楽しめるようになります。
ナチュラル・ディストーションの再生については、ヨーロッパ製装置とアメリカ製のそれではとらえ方にずいぶんと違いがあります。 英国製ヴィンテージ機器は電気信号のリアリティに注意を払っており、自然なひずみやノイズに対して料理することなくそのまま出すように作られています。 自然なひずみなどは音楽の創造では重要な役割を担っているからです。 でもJAZZなどのように電気歪(エレクトリック・ディストーションに汚染されてカッティングされたレコードには反応せず無視する傾向があります。 アメリカのオーディオ機器のようにJAZZ盤にある電気歪に反応して効果をあげることができません。 英国製のアンプが基本的にA級プッシュプル方式であることがこうした傾向に大きく影響していると思います。
一方アメリカ製ヴィンテージ機器、特にアンプはヨーロッパプレスのクラシックLP再生にはほとんど力を発揮しません。 それはこの国の機器がエレクトリック・ディストーションをオーディオのひとつの大切な要素として認識しているからです。 それでJAZZ再生にぴったりとはまります。 アンプとスピーカが待ってましたとばかり反応してくれるのです。 これがクラシック再生には裏目に出ます。 音そのものが電気臭さに閉口します。 この電気臭い音はアメリカプレスのレコードにも当てはまります。 アメリカ盤を英国ヴィンテージ機器で再生すると、電気歪が多くて閉口することがよくあります。 米国盤とヨーロッパ盤の差異はレコードそのもののSN比に反映します。 ヨーロッパプレスを聴きなれたリスナにはアメリカ盤はSN比が相当劣っていると感じることが多いようです。 またそれが判別できないとすれば、それはそれで問題ではあります。 この20年間のうちにクラシックのオリジナルLP市場で米国プレスの需要が凋落しています。 この事実が米盤のクラシックLPの品質の良否を如実に物語っています。 つづく
以上T氏



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