2017年04月05日
THORENS TD124 Ｔ氏製作キャビネット
レストア後キャビネットの問題はユーザにとってもグレイにとっても共通の悩ましい問題でした。 何しろレストア依頼で送られてくるTD124が載せてあるキャビネット、揃いも揃って下等なものばかりなので閉口します。 見栄えは良いけれどやたら重くて最悪の響き、オリジナルそっくりに作ってあるけれどその音は許しがたいほど悪辣なものであったりするからです。 これではせっかく丁寧にレストアさせていただいてもこの様なキャビネットに組み込まれてしまったら、レストアする意味がなくなってしまう、TD124はキャビネットにより音質が良くもなれば悪くもなるのです。
スイスTHORENS社製オリジナルキャビネットを使用している限り、大きな問題はありません。 しかし、このキャビネットは元来Mk.1 の初期型（エンポリウム仕様）の為に製造されたものであり、メタルスピンドルのMk.1（19,000~50,000番台）やMk.2に使用してもそれほど効果は上がらなくて、その力は限定されます。 オリジナルキャビネットでも、使い方を誤ると音が突き上げたり、ただやみくもに強い音になってしまうことさえあります。 ではアメリカ製の良くある合板キャビネットはどうでしょう。 これは悪くはなく、最低限TD124らしい音は出ます。 でも無条件で勧められるほどではありません。 そこで考えたのがTD124全機種に適応できるユニバーサルな性格を持つキャビネットです。 しかも交換しやすいように比較的安価にお頒けできるように工夫してみました。
材料は天板がシナ合板、側板は桐ラミネイトボード、コーナ材は欧州松、天板の補強材はヒノキにしました。 すべてレストアされた高い水準の性能を保持するTD124を載せて試聴を重ねて選ばれた材料です。 オークやチークやタモなどいかにも高級に見える材料は家具や飲み屋のカウンタには良いのでしょうが、キャビネットには全く向きません。 西洋ブナといっても、我が国で入手出来るのはピンキリで、そのほとんどはカンカン音が跳ねるだけで響きが浅くなります。どうしてこれまでのキャビネットはほとんどが堅木を使いたがるのでしょう。 オリジナルキャビネットは確かに硬木ですが、非常に良質で特別な産地の木材を使用しているのが明白で、今日ではこうした材料を得るのは不可能です。 同じバーチ材でも当時と現在出回っている材では響きが雲泥の差があるのです。 しかもこれまでの経験からして、チークやオークやタモ、西洋ブナなどを使用した後発のキャビネットはほとんどが酷い響きでカンカン跳ねてしまっています。 これら後発キャビネット製造者は本当に良く整備されたTD124を載せて試聴してみたことがあるのでしょうか？？ ただ同じ材料、同じ形状、同じ大きさでも響き方は異なるのですから、音楽を理解していないと音色、音の伸び、響きのなめらかさを再生するキャビネットは創り出せません。 後発キャビネットのほとんどは音に関係ない家具職人が製作しているのが実情なのです。
話を戻しましょう、現在製作しているキャビネットの構造そのものはアメリカ製キャビネットに準じていますが、変更箇所は天板の補強、およびコーナ材の追加です。
もちろん、響きを確認しながら慎重に作業していきます。 天板の補強材は強度により振動を制動するためのものです。 これにより、キャビネットの天板と側板の振動を整えることができます。 アメリカ製キャビネットの音がイマイチなのはこういうことを考えずにただ箱として製造されているからでしょう。
コーナ材は天板に接しないように作ってあります。 強度的には接して固定したほうが良いのですが、そうすると振動がこの部位にとどまり溜まり、再生音にニジミやエグミが乗ってしまいます。 がっちり作ればよい音が出るというのは今日では非常識というものです。 確かに弱く作るというのは製作者からすれば勇気がいりますが、結果を聴けばこうするのが正解でした。
このキャビネットはオリジナル同様天板の左側を右側より広く開けてあります。 これによりアーム部位のキャビネットの質量が減り振動が早く消えてくれるのです。
塗装はオイルステイン、色は明るめのチークに仕上げました。
このキャビネットの再生音の特徴はとにかく音抜けの良さと明快に良く伸びる低音であります。 弦の濡れ具合もきちんと出ましたし、ジャズの切れも良くポピュラものれます。 ブリティッシュロックをMk.2 でかけるとかなりのレベルの再生音が期待できます。 TD124の個別の特色を生かしながらプログラムソースに適応力が高いことも試聴テストで証明され、狙いとしてのユニバーサル性は十分に得られています。 以上Ｔ氏
Ｔ氏製作キャビネットはTD124のレストア依頼された方に安価で販売させていただいております。 キャビネット単体のみでの販売はしておりません。 なぜならレストアしていないTD124を載せても効果は十分に発揮できないからです。
スイスTHORENS社製オリジナルキャビネットを使用している限り、大きな問題はありません。 しかし、このキャビネットは元来Mk.1 の初期型（エンポリウム仕様）の為に製造されたものであり、メタルスピンドルのMk.1（19,000~50,000番台）やMk.2に使用してもそれほど効果は上がらなくて、その力は限定されます。 オリジナルキャビネットでも、使い方を誤ると音が突き上げたり、ただやみくもに強い音になってしまうことさえあります。 ではアメリカ製の良くある合板キャビネットはどうでしょう。 これは悪くはなく、最低限TD124らしい音は出ます。 でも無条件で勧められるほどではありません。 そこで考えたのがTD124全機種に適応できるユニバーサルな性格を持つキャビネットです。 しかも交換しやすいように比較的安価にお頒けできるように工夫してみました。
材料は天板がシナ合板、側板は桐ラミネイトボード、コーナ材は欧州松、天板の補強材はヒノキにしました。 すべてレストアされた高い水準の性能を保持するTD124を載せて試聴を重ねて選ばれた材料です。 オークやチークやタモなどいかにも高級に見える材料は家具や飲み屋のカウンタには良いのでしょうが、キャビネットには全く向きません。 西洋ブナといっても、我が国で入手出来るのはピンキリで、そのほとんどはカンカン音が跳ねるだけで響きが浅くなります。どうしてこれまでのキャビネットはほとんどが堅木を使いたがるのでしょう。 オリジナルキャビネットは確かに硬木ですが、非常に良質で特別な産地の木材を使用しているのが明白で、今日ではこうした材料を得るのは不可能です。 同じバーチ材でも当時と現在出回っている材では響きが雲泥の差があるのです。 しかもこれまでの経験からして、チークやオークやタモ、西洋ブナなどを使用した後発のキャビネットはほとんどが酷い響きでカンカン跳ねてしまっています。 これら後発キャビネット製造者は本当に良く整備されたTD124を載せて試聴してみたことがあるのでしょうか？？ ただ同じ材料、同じ形状、同じ大きさでも響き方は異なるのですから、音楽を理解していないと音色、音の伸び、響きのなめらかさを再生するキャビネットは創り出せません。 後発キャビネットのほとんどは音に関係ない家具職人が製作しているのが実情なのです。
話を戻しましょう、現在製作しているキャビネットの構造そのものはアメリカ製キャビネットに準じていますが、変更箇所は天板の補強、およびコーナ材の追加です。
もちろん、響きを確認しながら慎重に作業していきます。 天板の補強材は強度により振動を制動するためのものです。 これにより、キャビネットの天板と側板の振動を整えることができます。 アメリカ製キャビネットの音がイマイチなのはこういうことを考えずにただ箱として製造されているからでしょう。コーナ材は天板に接しないように作ってあります。 強度的には接して固定したほうが良いのですが、そうすると振動がこの部位にとどまり溜まり、再生音にニジミやエグミが乗ってしまいます。 がっちり作ればよい音が出るというのは今日では非常識というものです。 確かに弱く作るというのは製作者からすれば勇気がいりますが、結果を聴けばこうするのが正解でした。
このキャビネットはオリジナル同様天板の左側を右側より広く開けてあります。 これによりアーム部位のキャビネットの質量が減り振動が早く消えてくれるのです。
塗装はオイルステイン、色は明るめのチークに仕上げました。
このキャビネットの再生音の特徴はとにかく音抜けの良さと明快に良く伸びる低音であります。 弦の濡れ具合もきちんと出ましたし、ジャズの切れも良くポピュラものれます。 ブリティッシュロックをMk.2 でかけるとかなりのレベルの再生音が期待できます。 TD124の個別の特色を生かしながらプログラムソースに適応力が高いことも試聴テストで証明され、狙いとしてのユニバーサル性は十分に得られています。 以上Ｔ氏Ｔ氏製作キャビネットはTD124のレストア依頼された方に安価で販売させていただいております。 キャビネット単体のみでの販売はしておりません。 なぜならレストアしていないTD124を載せても効果は十分に発揮できないからです。
