2017年05月17日

英国プレスを出品します

今週から主に英国モノーラル盤をオークションに出品します。

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大きな価値を認められた盤ではないけれど、よおく聴いてみると輝いている盤が少なくありません。 1950年代半ばから、LPモノーラル録音は熟していき、1958年には英国でLPレコードの全盛を迎えます。 この年英DECCAとEMIはステレオ盤を発売し、それまでのモノーラル盤はすでに過去のものになったか、というとそういうわけにはいきませんでした。 ことに英国においてはステレオもモノーラルも同じ価格で販売されるほど依然モノーラル盤は音楽愛好家に支持されていきます。 彼らはステレオによって得られるものもあれば、失うものもあることを熟知していたに違いありません。 あらためて英国モノーラル盤を当時のモノーラル再生装置で聞き直してみると、再生音にある音楽含有量のゆたかさに驚かされると同時に、モノーラルでより鮮烈で奥深い時代感、空気感に酔わされます。 

ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番  C.カーゾン(Pf) H.クナッパーツブッシュ ウィーンフィル  録音1957年 ゾフィエンザール  外ミゾ銀文字レーベル(初版) フラット重量版  P;;J.カルショウ E;G.パリィ  LXTモノーラル盤は1957年12月発売でフラット重量盤、SXLステレオ盤は1958年10月発売されていますがフラット重量盤ではありません。 当時、モノーラルもステレオも価格は同じで、英本国では39シリング11ペンスと1/2 でした。  それだけモノーラルの需要が大きかったのでしょう。 初版プレスフラット重量盤から繰り出される音質も贅沢そのもので、もし高い水準のモノーラル専用装置をお持ちならば、部屋中に芯のしっかりしたピアノが演奏家の気配を漂わせて、ピアノがピアノ本来の音色で再生されて空気をふるわせてくれるはずです。 オーケストラの響きに喜怒哀楽がらくらく再生されるのもうれしく、ステレオと違い、定位を探る必要もなく、音楽に浸れるのを当時の英国レコード愛好家は知っていたに違いなく。  P5150094-516とにかくピアノの音、響きに聴き惚れてしまいます。 イマジネイションに富み、清水のように澄んでおいしいピアノの響きのエロス。 今とは違うウィーンフィル、魅惑たっぷりの音を出しています。 ゆたかで雄弁な低音の表情。 残念なのはクナッパーツブッシュの棒がいかにも古臭く、保守的なのが痛い。 ギレリスと共演したルートヴィヒのようにマーキュリィ神を思わせる跳躍感あふれる伴奏が欲しかった。  きれいな盤です。  ジャケット(11/57日付)  イギリスプレス

この盤はオークションに出品しています
英LXT 皇帝協奏曲 カーゾン クナ 


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